7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/12/20(木) 05:14:41.85 ID:9KvLHikGo
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「どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
咆哮と共に振り下ろされ蒼色の鎚、その中点に嵌め込まれた紅の宝玉からこれまた深紅の炎が燃え出でると、魔獣を包み込んで灰に変えた。
しかし背後から、別の獣の爪が迫る。
「だぁ!もう!数がぁっ……多いぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
左脚に装着された深紅の具足で背後の敵に回し蹴りを叩き込む。インパクトの瞬間に爆炎を生じさせるおまけ付きの一撃が、魔獣を瞬時に粉みじんに吹き飛ばす。
その粉塵を割り、さらに魔獣が迫る。
「ちっくしょーめ、これじゃ埒が開かねぇ!くっそ、魔力残量も不味いな……一気にぶちかましてぶっ飛ばせるか……?」
少女はへんてこりんな恰好をしていた。
全身を覆う、蒼を基調として赤いラインの入ったボディ・スーツ。
頭部にはメカメカしいヘルメットを装着し、左手にはシンプルな手甲を、右手には装飾過多の巨大なガントレットを付け、そこには人の身で振うには余るサイズのハンマーが保持されている。
両すねには頑丈そうなプロテクトを履いており、ごてごてとした刺さるととても痛そうなパーツで彩られている。
彼女は確かに魔法少女だった。だが見た目としては"魔法少女"というカテゴリに属すべきでない出で立ちであるというのだけは確かだった。
少女は、魔獣の群れに囲まれていた。一匹の魔獣を追って、路地裏に突入した矢先の出来事だった。
まるで肉食のアメーバが対象を捕食せんと包み込むようにして結界が展開され、彼女はそれに為す術も無くとらわれたのだ。
この決して弱小ではないチビの戦士は少々浅慮なところがありしばしばこういう場面に陥る事があったが、今日のこれはその中でも最上級に不味い事態だと言えた。
倒しても斃しても湧いてくる魔獣の群れ。砕き、潰し、裂き、蹴りをいれ、ぶん殴る。
だが吹き飛ばしてもなお次々と現れるこの怪物どもは、まるで数を減らす気配がない。
常に最大戦力を投入し続ける飽和攻撃の連続に、キャリア2年の15歳は圧倒され始めていた。
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