過去ログ - 姫神「安価で。許嫁にして」フィアンマ「…フィアンセか…」
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[saga]
2012/12/22(土) 23:59:51.34 ID:AUSLkh3V0
京都の、山村。
少女は、独りぼっちだった。
つい昨日までは、そんな事は無かった。
今日、昼頃から、夕方にかけて。
彼女は、その村の全ての人を消し去った。
灰の中、たった一人で佇む少女は、雨に打たれていた。
「…おかあさん」
彼女は、まだまだ幼い少女だった。
まだ、六歳だった。
家族を喪うには、あまりにも早い。
昨日までの楽しい日々が、これからもずっと続いていくと、そう思っていた。
彼女を取り巻く状況は、どこまでも暖かかった。
それは正に、平穏、或いは安穏。幸福と呼ばれて然るべき時間だった。
「…おとうさん」
彼女の髪は、黒くて長かった。
日本美人、或いは大和撫子とそのまま美人画に出てきそうな。
母親も、彼女と同じように長くて黒い、真っ直ぐな髪の持ち主だった。
彼女の瞳は、ほんのりと紫がかった黒だった。
涼やかな顔立ちは、村一番の美男子と讃えられた事もある、父親に似ていた。
彼女を大切に愛した両親は、優しくて、いつも笑顔が絶えなかった。
彼女が好き嫌いをすれば、それはよくないよ、お野菜にも命があるんだから、と言った。
「…おばさん、…おにいさん…」
彼女は、村に住んでいる身の回りの人々が大好きだった。
いつも自分に優しく、または甘く接してくれた人が多くて。
お隣のXX君は少し意地悪だったけれど、それはそれで悪くなかった。
少女―――姫神秋沙の周囲に散らばる、灰。
それらは、彼女の血液を呑み、死を選んだ人々の遺体だった。
「………おねえさん、……」
隣人も家族も、全員が全員。
彼女の体質に吸い寄せられ、謝罪をしながら血液を呑み込んでは、灰となった。
「…どうして」
降りしきる雨は、灰を何処かへ流していってしまう。
最早、それをかき集めるだけの力は、彼女に残されていなかった。
膝をついた彼女に、近寄る影があった。
彼等は、『ローマ正教十三騎士団』と呼ばれていた。
「…おい」
声をかけられ、のろのろと、彼女は顔を上げる。
手を差し伸べられた。あまり嬉しいと思えないまま、彼女は導かれる。
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