16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 01:23:54.95 ID:ciVG5wjy0
「しかし、驚いたな。毎年これだけの仕事を真夜中にこなしていたのか?」
聞けば聞くほどサンタの仕事量は凄まじく、素直に感心した。
しかしイヴのほうは話すにも妙に覇気がなく、私の言葉の端々に何か思うことでもあるのか、時折困ったような苦笑を浮かべていた。
そんな中、特に言葉に詰まり、むむむと考え込むように話し出すイヴ。
「毎年…… 毎年ですか〜」
「……なんだ? 今年は何か特別だとか、そういうことかい?」
「う〜ん、悪い意味で特別っていうのかもしれませんねぇ。実はさっきの、その、取り乱しちゃったのってその辺が原因でして〜」
「辛いなら無理して言わなくても良いんだぞ?」
「そういうことでもないんですけど〜 ……なんていったら良いんでしょう〜? ちょっと待ってください、すぐ戻ってきますから〜」
イヴはまた困った様子でしおらしく笑うと、おもむろに立ち上がり屋上を出ていく。
ブリッツェンものそっと動きだしイヴについていこうとするので、寄りかかっていた私は慌てて離れた。
何をするつもりかと、状況に置いて行かれながらしばし立ち尽くしていると……階下からガタンガタンと、台車を無理矢理引き上げるような音が一瞬聞こえ、またすぐに止んだ。
その音を聞いてまもなく駆け戻ってくるイヴ――彼女は屋上に入るなり、手に何かを掲げて見せる。
一瞬それが何を意味するのか理解しかねたが、意味が分かると…… なるほど、彼女の落ち込むのも理解できた。
「お待たせしました〜」
「……その袋は」
「一昨年まではちゃんとプレゼント、配れてたんです〜。でも…… この有様でして〜」
彼女の手に掲げられたしおれた袋。
それはよくて半分程度しか中身のない、プレゼントの入れ物だった。
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