過去ログ - フィアンマ「安価、で」上条「目一杯幸せになろうな」
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209: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/12/28(金) 02:10:58.97 ID:87gAVjC+0

垣根「…なんだ、意外とイケるじゃねーか。…美味いぞ、ありがとな」

あっさりと笑って、垣根は摘んで汚れたのとは反対の手で、麦野の頭をわしわしと撫でる。
勿論、額面通りに美味しい訳が無い。
やたらとべたべた甘いし、それでいて焦げも手伝ってか滅茶苦茶苦いし、ソースが輪をかけて酸っぱい。
けれど、たったそれだけだ。麦野が一生懸命作ってくれたのだから、これは『美味しい』のだ。
例え百人中百人が『不味い』と断じても、垣根だけはそう言わない。愛しているから、言う必要が無い。
麦野ははくはくと口を動かし、唇を噛み締め、下を向く。

麦野「…味見した。不味かった」

垣根「お前の口に合わなかっただけだろ」

麦野「そんなんじゃない。…食べ物じゃない」

垣根「食べ物から作ったんだから食べ物だろ?」

麦野「…焦げた。酸っぱいのと甘いのがバラバラになってる」

垣根「一緒に口ん中入れれば問題ねえな」

麦野「…馬鹿、……何で、…不味い、って…いわない、のよ…真面目にやって…ばかみたい…」

垣根「…あのな」

はぁ、と垣根はため息をつく。
自分の前では脆い彼女が、愛おしくも、時々残念に思う。

垣根「多少の失敗が何だよ。お前が指怪我して、エプロン汚して、髪ドロドロにしてまで作ったモンが不味いなんて言うと思うのかよ。それこそ馬鹿だろ。……いいんだよ。沈利がくれんなら、味はどうでも。これだけ努力してもらったんだ、お返しは弾まねえとな」

麦野「……、」

垣根「…俺たちが居るのは、もう、結果主義の暗部組織じゃない。仕事じゃねえんだ。結果じゃない。過程なんだよ」

麦野「……、……」

じわじわと目に再び涙を溜め、彼女は目を伏せる。
そんな麦野を抱きしめ、垣根は嬉しそうに笑んだ。

垣根「…ありがとな、沈利」





その頃、『アイテム』メンバーが住んでいる建物では。
絹旗とフレンダ、滝壺は隣の部屋で暇を潰し。
浜面仕上は、垣根弟と二人で居た。

垣根弟「…おお、とカキネは感動した」

浜面「結構甘めに作ったが、ちょいと苦いかもしれねえな」

るんるん、と気分良く垣根弟はガトーショコラを口にする。
もぐもぐ、と口を動かした。柔らかな頬が膨らむ。

垣根弟「>>211


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