17: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 12:31:10.94 ID:nzTAcqmZo
ころん。身長の高い四条さんは、真横に倒れるようにして私の脚に頭を乗せて。思っていたよりも頭蓋は重く、豊かな銀色の髪が流れては、絡みつきます。少し身じろぎして、形のいい頭をおなかに抱きかかえるように収めます。
「……」
18: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 12:32:19.46 ID:nzTAcqmZo
「あの」
「……雪歩」
19: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 12:32:58.78 ID:nzTAcqmZo
事務所のドアの開く音で、一気に世界が発破を食らいます。
「おかえり、春香ちゃん」
「ただいま、雪歩。貴音さんと何してるの?」
20: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:04:48.37 ID:nzTAcqmZo
2
『あゝ 窓に あゝ オーロラ
眼を見張れ今は 夜が歌うとき』
21: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:05:21.14 ID:nzTAcqmZo
『サイレン uh- 時が止まるよ
サイレン uh- あとわずかで――』
入れ替わり、立ち替わり、みんながステージに走り出ます。プロダクションのみんなと、観客のみんなと、あと、それから、何かわからないもの。気配とか、空気とかテンションとか、そういう言葉で表される、わからないもの。
22: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:05:46.84 ID:nzTAcqmZo
四条さんは、驚くことにほとんど動きませんでした。あずささんはアコースティックギターを演奏していたし、千早ちゃんも身ぶりを交えて歌っていたのに。
――『TrujilloのHaldyn―TorujilloのHaldyn』
23: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:32:19.90 ID:nzTAcqmZo
『一緒に 行きませんか』
24: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:38:03.26 ID:nzTAcqmZo
「ぁ――――!」
雷でも落ちたようでした。
視界が白く埋まり、延髄に甘く重い電流が渦を巻き。
25: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:40:03.46 ID:nzTAcqmZo
――『仕事場は タブー』
そう、タブー。禁忌。でもそれもこの場まで。
熱っぽく歌い上げます。美希ちゃんのコーラスは、ここでは別録のもの。メインMCでもある美希ちゃんの、体力を考えてのことでした。
26: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:42:05.22 ID:nzTAcqmZo
頃合いを見計らって、美希ちゃんがマイク片手に飛び出します。
「まったくぜんぜんなってないの。ロックのライヴを教えてあげる。みんなで声を揃えてウィーワットと叫ぶのだよ。いい? もう一回やってみて。ミキたち後ろに引っ込むから」
27: ◆3feiQFueVc[sage saga]
2012/12/26(水) 13:42:33.04 ID:nzTAcqmZo
プロデューサーは、簡単に、まあ良かった、というようなことを言って、すぐに出ていってしまいました。どうせ聞いていないって、わかっているんだと思います。春香ちゃんと千早ちゃんなんて、ハイになってキスしてましたし。
私は、汗も拭かないで、息を荒げて真ちゃんや美希ちゃんと笑いあう自分を、ひどく冷静に観察していました。どう見ても、どこから見ても、私もライブ明けでハイテンションです。
それを自覚して、ふらつく脚で立ちあがり、鏡台に腰をかけて水を口に運ぶ四条さんへ歩み寄りました。四条さんはすぐに私に気が付いて、微笑んで何かを言おうとするのに、飛びかかって首にすがりつき、ぐいと引きよせて妨げます。無我夢中で、感触なんてわかったものじゃない、やりかたもよくしらない、唇をぶつけるだけのそれ。
209Res/115.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。