200: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:00:54.14 ID:tvkmI4vQo
ある日、街に出向いて地酒を一本、買い求めます。
「雪歩、月見酒は如何ですか」
「……そうですね、ご一緒します」
201: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:01:40.57 ID:tvkmI4vQo
「ふわふわです……」
「ええ」
「貴音さん……どうして、いつも泣きそうな顔で……するんですか?」
202: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:33:10.86 ID:tvkmI4vQo
岬は寒風吹きすさび、眼下には錦江湾が、かすかにけぶる視界に広がります。
携帯電話が、懐かしいめろでぃを奏でました。
こうして連絡が来るのを、心のどこかで待っていたのかもしれません。
203: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:33:44.45 ID:tvkmI4vQo
「敵など……ええ、居りません。けれど、幻であっても、まやかしであっても、私の見ることができるのはそれだけでしたから。
……萩原雪歩という幻は、とても美しく光を放っています。そう、正しく幻想的に」
袖を引くので、雪歩に電話を渡しました。
204: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:34:16.09 ID:tvkmI4vQo
「あなた様? あまり雪歩をからかわないでください……私、恥ずかしい……」
「とにかく……三時間もすれば、私もそこに着きます。……プロデューサーとして、アイドルに命じます。今すぐ、宿に帰りなさい」
「おや……三時間。ふふ、随分と、足の速い。……私の手紙を、見て頂けたのですね。
プロデューサー……いえ、あなた様……あなた様は、とても、優しい方です……ずるいことを言いましょう、あなた様。
205: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:35:02.12 ID:tvkmI4vQo
「貴音さん」
「はい」
「愛しています……『行こうファウスト、地獄へ』」
「嗚呼、愛しい雪歩――『時よとまれ、貴女は美しい』」
206: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/25(月) 01:35:52.64 ID:tvkmI4vQo
落華。
つないだ手の温もりと、身を切る冷たい風の中、ひらり、視野を横切る灰は、風花に似て。
207: ◆3feiQFueVc[saga]
2013/02/26(火) 03:16:39.21 ID:AORtwfCuo
おしまい
208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/02/26(火) 12:27:18.54 ID:TiVrwfiao
乙
209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/02/26(火) 14:10:04.10 ID:c/fYB/PSO
乙
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