過去ログ - オッレルス「……」フィアンマ「…安価で、お前をまともにする。したい」
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10: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/12/30(日) 00:16:11.83 ID:GThBX//g0


右肩から大量の血液を溢れさせながら、フィアンマは未だ雪の降り続ける空を見上げた。
走馬灯として振り返るものがないから、白昼夢に浸っていた。
何が間違っていたかといえば、何もかもが間違っていたのだろう。
だけれど、あの時、自分は最善の選択肢を選んでいた筈だ。

あの男が救った世界を守る事は、出来た。
失血が酷いせいで、もう寒いも痛いも、感覚が無い。あるのは、蟠った吐き気だけ。
気持ちが悪い。
こみ上げるままに吐きだしたそれは、胃液混じりの血液。

かひゅ、と冷たい空気を吸い込み、フィアンマは数度咳き込む。
その度に血しぶきが雪に広がり、染み込んでいく。
冷たくて、鉄臭いベッドだ、と笑った。

げほ、とまた血液を吐き出して。
力の入らない身体で、どうにか雪面に手をつき、のろのろと起き上がる。
世界にたった一人、残されたかのような気分だった。

ぺた、と雪の上に座ったフィアンマは、白い息を吐き出してうなだれた。
気持ち悪い。

ざくざく、と雪を踏み込んでゆっくりと歩く音が近づいてくる。
立ち向かう気力も、立ち上がる体力も無い。

フィアンマ(…ここまでか)

不意に、近づいてきた足音が、自分の少し前で止まった。
目を開け、見上げた先に居たのは、一人の青年。

黒い毛皮のコート、灰色の装束。
物々しい眼帯に、鍔広の帽子。
どこか虚ろな瞳をした、金髪の青年。

彼はフィアンマの周囲に何かを撒いた。
計算して撒かれた液体により、陣が描かれる。
それは、治癒行為を行う為の術式だった。

?????「…立てるかい?」

二時間程経って、彼はそう問いかけた。
フィアンマは立ち上がろうとして、そのまま、倒れた。


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