125:杏子編 ◆KbI4f2lr7shK[saga]
2013/07/15(月) 06:40:18.04 ID:F3tPEf1C0
「おお〜!やってるねぇ」
穏やかな空気をぶち壊す元気な声。
ビクリと身体を震わせ、音を立てながら立ち上がって入口を見る。
思った通り、さやかがあたしたちを見てにやけている。その隣ではマミがクスリと微笑んでいた。
厄介なところ見られた。そう思って内心舌打ちをする。
「……っ!」
ほむらは怯え気味にあたしを壁に隠れようとした。ベッドの上だから少し動いた程度だが。
その反応にあたしたち3人は苦笑する。
「だ……誰ですか?」
怯えてはいるが視線はきちんとさやかに向いていた。って、さやかとまだ会わせてなかったか?
「あれ?あたし自己紹介まだだっけ?」
さやかも同じこと考えたのか首を傾げた。
ほむらが目覚めたときはさやかも部屋を覗いていた。
あの日聞いたバイオリンはさやかの幼馴染が屋上で弾いていたとのこと。その関係でほむらのことが瞬く間に伝わったようだった。
あと、さやかがほむらと一度廊下で逢ったようなことを言ってた気がするけど……多分この様子だとほむらは覚えてないな。
ほむらが眼鏡をかける前の話だし、まともに見えていなかっただろう。無理もないか。
「は……はい」
「ハハ……。それはゴメン。あたしは美樹さやか。よろしくね!」
後ろ手で頭を掻きながら歩み寄ったさやか。そっとほむらに手を差し出した。
「あ……暁美ほむら……です。よ、よろしくお願いします」
躊躇いつつも、ほむらはきちんと握り返した。
「美樹さんは暁美さんと同い年なのよ」
マミが情報を付け加える。
そうか。マミの1つ下なんだから当然さやかとは同じ学年になるわけだよな。
「そ……そうなんですか?」
「ええ」
マミの微笑みにほむらは警戒を緩める。チラリとあたしの方を見るので頷いてやると、小さく息を吐いていた。
「そういえば、これどこに置けばいいの?」
さやかが重そうな手提げを持ち上げる。覗き込むと分厚いファイルが数冊入っていた。
「えと……何でしょう?」
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