13: ◆2gMnW4GmGpwP[saga sage]
2013/01/02(水) 21:37:53.06 ID:pFmTOgpm0
ほむらちゃんの手がわたしの顔に近づきます。
少し冷たいほむらちゃんの細い指。頬を撫でるその手つきはとても優しくて心地良いものです。
そっとわたしに寄るほむらちゃん。空いたもう一方の腕も、存在を確かめるようにわたしを抱き込みます。
わたしを見詰めるその眼差しは真剣で、でもその瞳はどこか揺れを感じます。
ドキドキとしながら、近距離にある美しいほむらちゃんの表情を見詰め返します。
「まどか…」
ゆっくりと近付くほむらちゃんの顔。
キス…するのかな…?
期待してしまっているようなわたしの思考を肯定するように、ほむらちゃんの唇はわたしの口へと向かっていきます。
でも脳裏に浮かんだのは、橋の向こうに置いてきた三つ編みのほむらちゃん。
別れ際の三つ編みだったほむらちゃんと、目の前にいるほむらちゃんの姿が重なったのでした。
一瞬にして、期待の高まりは不安へと転換します。
「待って…っ」
気がついたとき、わたしはほむらちゃんを強く押し離していました。
ほんの僅かだけれど、わたしを抱くほむらちゃんの身体も震えていて、不安が高まります。
もう会えなくなるような気がして、怖かったのです。
そんなわたしを、ほむらちゃんは静かに見詰めていたのでした。
「ほむらちゃんは…三つ編みのほむらちゃんはどうなったの…?」
声が震えてしまいます。嫌な予感がして…消えないのです。
「……あなたが気にする必要はないわ」
冷たく突き放すような言い方です。
この話し方には覚えがあります。
ほむらちゃんが感情を押し殺している時のものでした。
「ほむらちゃん!」
思わずほむらちゃんの腕を掴みます。
かなり力が込もっていたようで、一瞬だけほむらちゃんの表情に苦痛の色が混じります。
でもそれ以降は無表情にわたしを見詰めるだけでした。
そうやってしばらく見詰め合っていると、ほむらちゃんが折れたように息を吐いたのでした。
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