194:まどか編第二章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/27(土) 23:51:27.42 ID:u81ECVb60
再びほむらちゃんは顔を近づけ、キスしようとしています。
「嫌だ……嫌だよ」
ほむらちゃんが消えるなんて。そんなの認めたくない……。受け入れたくない……。ほむらちゃんとずっと…。
堪えていた涙が零れ落ちます。
「…受け入れて、まどか」
少し押しの強い口調です。それでもわたしは首を横に振ります。それを見て困ったように、悲しそうにほむらちゃんは笑います。
「ここであなたが拒んだら、あの子は報われないわ。…私も、残りの子も」
残り……? まだ居るの?
ただでさえ辛い出来事なのに…何度も受け入れろとほむらちゃんは言うのです。
「まどか……お願い」
とても辛そうに言います。今にも泣き出しそうなのを我慢して……それでも堪えてわたしから目を逸らさないほむらちゃん。
こんな風にお願いされて、どうして拒めるでしょうか……。
「……うん」
とうとう頷いてしまいました。
ほむらちゃんは少し嬉しそうに笑み、今度こそ口付けます。気遣うような、優しいキスです。でもこんな形でして欲しくはありませんでした。
前回同様に変化が生じます。概念となったことで得た情報と持っていた力の殆どが剥ぎ取られ、光となってほむらちゃんに流れます。
わたしの姿も多くの時間軸における魔法少女姿へと変わりました。違うのは髪を留めるピンクのリボンが無いという点だけです。
変化が終えたあとも、離れようとしたほむらちゃんを抱き返して唇を押し付けます。
少しでも長い時間ほむらちゃんの存在を感じていたかったのです。気持ちが通じたのか、ほむらちゃんも大人しく受け入れてくれていました。
ほむらちゃん……。こんな時にもほむらちゃんの優しさが伝わってきます。
しっかりと味わうように、それでいてわたしに負担が掛からないように唇を噛み合わせてくれます。
抑揚をつけながら、わたしが満足するまで続けてくれたのでした。
互い瞼を開き、名残を残しながら離れていくほむらちゃんの顔を見詰めます。
「ほむらちゃん……」
触れている筈のほむらちゃんの身体は右足から光の粒へと変わっていました。別れの時間のようです。
ほむらちゃんに抱きつく腕の力を強めます。滲んでいく視界の中のほむらちゃんは泣いていました。
「まどか……」
しっかりとほむらちゃんの姿を焼き付けようと、何とか涙を留めて見上げます。
「私にあなたを守らせてくれてありがとう」
泣きながら、それでも満面の笑みを残してほむらちゃんは消えたのでした。
遺された温もりを抱えるように、自分の身体を抱きしめて俯き、涙を落とします。
――ありがとう。
その言葉はとても温かくて、胸に深く刻み込まれました。
涙を拭き、立ち上がります。わたしは消えた二人のほむらちゃんの想いを受け止めなければいけません。
行かなくちゃ……。しっかりと顔を上げ、城の扉に近づきます。
重い音を立てながら扉が開き始めると、完全に開くのを待たずにわたしは駆け込んだのでした……。
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