199:まどか編第四章 ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/07/28(日) 00:00:54.28 ID:/KE04hO/0
****まどか編第四章
ほむらちゃんがいた空間に頭を下げるように、わたしは片手を付いていました。
もう何も考えられなくて。お別れする時間も与えられずに、ほむらちゃんが目の前で消えてしまって…。哀しみ、泣くことすら出来なくなっていました。
どうして……? わたしはただ、ほむらちゃんが、皆が生きて笑ってくれれば良かったのに。
皆が笑っていられるなら、わたしはどうなっても良かったのに。それなのに……どうして……?
「――――か」
甘えていたから、罰が当たったのかな……。ほむらちゃんなら、きっとわたしのことを覚えていてくれるよね……って。
散々苦しめておいて、それでも忘れられたくないって思ったから。
「―――どか」
こんなことになるなら、ほむらちゃんにリボンなんて――
「鹿目まどか!」
突如、近くで聞こえた大きな声にわたしは正気に戻ります。
ゆっくりと顔を上げると、強ばった表情のほむらちゃんと目が合います。
‘ツインテールのほむらちゃん’がわたしの斜め前の、少し離れた位置で膝を付いていました。
「……やっと反応したわね」
ホッとしたような、少し呆れたような様子で息を吐いて‘ツインテールのほむらちゃん’は立ち上がります。
鳴動する銀河の光を浴びるほむらちゃんは落ち着き払い、動作は洗練されていて綺麗だと思います。
「調子はどう?」
顔を僅かに動かし、視線が投げかけられます。
「え? あ……うん。もう大丈夫」
近くで見るとやっぱり‘他のほむらちゃん’とは違うように見えます。
「そう。なら良かったわ」
抑揚がない返事です。感情の色が読めません。事務的なようにも感じ取れました。
「本題に入る前に……あなたの中にあるそれ、分かる?」
それ、というのはさっきまで居た‘赤いリボンを着けていたもう一人のほむらちゃん’から入ってきた光のことでしょう。
「うん。これは、ほむらちゃんの魔法だよね」
わたしが改変した世界に対応して変化した、ほむらちゃんの‘固有魔法’の性質を持っているのが分かります。
改変前のほむらちゃんの祈りはわたしが概念化したことで宙に浮きました。わたしを強く意識していたほむらちゃんの意思が反映され、弓矢と翼になったのです。
それは本来、ほむらちゃんしか持てないはずの力なのです。本当にわたしはほむらちゃんと入れ替わる形で人に戻ったのだと実感させられました。
「……分かっているならいいわ」
こうやって話していると、どこか冷たくて堅い、そんな印象を強く受けました。
「ねぇ、あなた…本当に‘ほむらちゃん’なの?」
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