226:マミ編序章 ◆KbI4f2lr7shK[saga sage]
2013/08/31(土) 17:29:01.65 ID:SgJB0fQH0
***序章
パキン。軽い何かが割れる音と同時に、白く細い手からの上から無数の紅い微光が周囲に溶け込んでいく。
時間を掛けて形成されていく銀河。周囲に散らばる星々。傍らに見える遠い過去の地球を除いて全てが白だけで形成されていた。
その宇宙空間に新しい光が生み出されていく。
赤いリボンのツインテールを揺らしながら、溶け込んでいく光をぼんやりと眺めていた私は溜息を零して座り込む。
大きな地球のオブジェを支える台。そこが私の所定の位置だ。
「佐倉杏子との関係は分かったけれど、どうして私にこんなものを見せるのよ……」
言っても仕方がないとは分かっているけれど、つい愚痴を零す。隣に設置されたベッドで眠る、赤いリボンをヘアバンドの代わりに使う‘私’の存在が羨ましい。
〈――――〉
言葉にもなっていない、意思のみが伝わってくる。私には知る必要があることだからとも、話し相手が居なくて寂しいからだとも感じ取れる。
まるで幼子がジェスチャーだけで伝えてきたようなものだ。相手の正体を知っているが故に苛立ちしか出なくても、私は悪くない。
〈―〉
私の望みを一応適えてくれる存在だし、暇なので相手をしていたが、このペースで居られると困る。どうしたものか……。
〈……!? ――! ――!〉
突如、騒がしくなる。無音だから表現は正しくないが、落ち着きが無くなったのだけは分かる。動揺している為に、余計に伝達が困難になっていた。
「どうしたの?」
異常が発生したことだけは察して、周囲を見渡す。山吹色の光の珠を見つけて理解した。
躊躇するように、迷うようにふらつきながら私の元へと寄ってくる光の珠。立ち上がってそれを迎える。
「まさか……巴マミ?」
思わず零れた問いかけに反応したかのように、目の前の山吹色の光は鳴動した。
〈―。―――――〉
相棒からも肯定が返る。少し落ち着いてきたのか、私にも状況が伝わってくるようになった。
この巴マミは‘この子’と特殊な縁が有った為に、迷い込んできたらしい。
動揺するほどに深い関係だが、私を通さないと意思疎通は出来ないようだ。
厄介な状況になったと、深い息を零してから、巴マミである光の珠を手で支える。鳴動が激しくなった。
私の存在に困惑し、同時に怯えているらしいが、そのことには気付かなかったことにする。
「私が指示するまではここに居なさい」
自分の肩、他の存在が居ることになれたこの位置に巴マミを運ぶ。かつての先輩であり、戦友でもある存在が自分の肩に居ると思うと変な気分だった。
「待ってもらうことになるけれど、大丈夫よ。……あなたの‘妹’が責任持って護ってくれるわ」
そうでしょう? そういう風に言外に何もない空間に伝えると、はい! 、と元気な返事があったような気がした。
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