過去ログ - ほむら「あなたにもう一度」
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69:杏子編プロローグ ◆KbI4f2lr7shK[saga sage]
2013/01/20(日) 13:36:19.08 ID:OhFFubjo0

「なっ!?」


 あたしは絶句する。何を言われたのか、すぐに理解できなかった。

 魔法少女の死なんてありふれたものだ。

 人知れず魔獣と闘い、その結界の中で死した者は遺体すら残らない。

 誰にも理解されず、ただ、ただ、その時が来るまであたしたちは闘い続ける運命にある。

 あたしは知っていた…経験として。

 他の魔法少女の命をこの手で奪ったことすらあった。

 なのに…、知っていた筈なのに…あたしの身体は震えていた。


「どういうことだよ!?」


 どうして今まで黙っていた。

 どうして淡々としていられる。

 どうして…色々な疑問が怒りと共に湧き上がった。

 あたしたちが一方的に仲間だと想っていただけなのか?

 ほむらはあたしたちを信用していなかったのか?

 そう思うと辛かった。苦しかった。悔しかった…。


 そんなあたしを無表情にほむらは見詰めている。

 手を伸ばせば触れられる距離。

 だけど相手から寄られることはなく、冷たい風が二人の髪を揺らすだけだった。


「…祈りの代償…かしら」


 視線を街の空に向けて、ポツリとほむらが零す。


「祈り?何でそれが…」


 祈りと言えばアレだろう。

 魔法少女になるときに叶えてもらう願い事。

 そのときの願いが巡り巡って悪い状態を呼ぶことならあるが、直接死に繋がるようなことは無かった筈だ。

 そういった願い事をしなければ…の話だが。

 ほむらの祈りは、誰かを取り戻したい…そんな内容だろう?

 全く理解ができない。


「対象の問題ね。私の因果で適えられるけれど…代わりに私自身を要求された。それだけよ」


 ほむらは握った手越しに、赤いリボンに口付けた。

 まるで愛おしい物に触れるかのように微笑んでいる。

 いや、愛しい誰かを想っているのだろう…同性でも見とれてしまう程、そのときのほむらは美しかった。


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