95: ◆KbI4f2lr7shK[sage saga]
2013/05/06(月) 18:09:46.88 ID:uNFuRhiC0
「…寝不足と疲労がら来る体調不良。…何してんだ…あんた」
ばたばたとした騒ぎが収まった後にあたしは嘆息する。
侵入したことを注意されることも覚悟して、看護師を呼んだ。
あまりにも様子が変だったから医師も来たが、まだ慣れない生活で疲労が十分に取れていなかっただけらしい。
全く人騒がせな…。
「えと………ごめんなさい」
身体を寝かせたまま、ほむらは少し考えてから謝った。
一眠りしたからか大分マシになったが、まだ顔色は良くない。
ゆっくり眠るように言っても、首を横に振るばかりなので、あたしは仕方なく傍で静かにさせていた。
「…謝るくらいなら、体調を誤魔化すんじゃねぇよ」
特にほむらは生来病弱だ。下手に誤魔化されて、実は重病でした…なんて洒落になんねぇし、さ。
医師と看護師からもたっぷり叱られるだろうが、当然だろう。…マミの方は予想すらできねぇ…。
「夢を…」
静かほむらは語りだす。身体の陰にある赤いリボンを掴むほむらの手がキュッと僅かに強くなった。
「…何だかずっと長い夢を見ていたような…気がするんです」
ほむらの視線が天井の向こう側に向いている。
「夢?」
急に何を言い出すのか。あたしは眉を潜めつつ、続きを待った。
「…はい。とても懐かしくて…悲しい夢…だったと思います。
でもとても大切な誰かの夢で…私が私であるために必要な記憶だったんじゃないかと思うんです」
自分が自分であるために必要な記憶…?でも今のほむらには――。
「不思議ですよね。記憶がないのに、何故か分かってしまったんです」
ほむらは微笑んだ。
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