過去ログ - 京太郎「救われぬ愛に救いの手を」
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2: ◆VB1fdkUTPA[saga]
2013/01/01(火) 05:09:22.13 ID:FkhuXWcNo

【プロローグ】




如何にしてこうなったか。

今の状況を問うとすればこれが適切である問いかけだろう。

男、須賀京太郎は一人、身動きせず自答した。

京太郎は一人、暗闇にいる。

時刻は昼過ぎ、別段寝ているという訳ではない。

そもそも、自分の意思で動いたのは何時以来だろうか。

少なくとも、もう忘れてしまったこと。

相当は昔の話だ。

ひゅるり。

暗闇の中、敏感に外部の情報を察知する京太郎には少しの隙間風が身に染みる。

寒いな、と思わず身を捩る。

じゃらり。

鉄の擦れる音が響いた。

音の元は三箇所。

手と、足と、首。

目を凝らせば、僅かな明かりからそれが鎖の形状をしていると分かる。

それは京太郎を縛るもの。

京太郎の自由を奪っている、枷であった。

枷は肌との接触面に緩衝材を添えられた鋼鉄製。

力では絶対に破れず、だが拘束による痛みを目的としたものではない。

それは犬の首輪に似ている。

飼い主は首輪をつけることで犬を守ることへ繋げる。

自分より離れていかないように。

他者に連れて行かれないように。

所有物であるのを意味する枷と、京太郎に付けられた枷は似ていた。

そして京太郎も理解している。

この枷を課した相手が、そういった意図でこうしているのだと。






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