過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)3
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7:廃墟の雨(お題:デモンストレーション)3/4  ◆/xGGSe0F/E[saga]
2013/01/03(木) 23:26:20.82 ID:Wr5rxJeJ0

 父はデモ行進を続ける傍らで、ついに実際に廃墟を建設してしまった。まだ許可を得ていないにもかかわらずだ。それが
二つ目の意味でのデモンストレーション。つまりは実際に廃墟を建てて、周りに宣伝する意味でのデモンストレーション。
宣伝と言うか、まぁ父はそのような言葉を使っていたけれど、僕から見れば軽い犯罪としか思えない。もちろん父は逮捕さ
れた。何の刑だったかは教えてもらってない。
 しかし父が逮捕されても、何故かデモは続けられていた。もちろん日本国民の多くは廃墟デモにすぐに興味を失って、ま
た新たなニュースへと飛び移っていったのだけれど、廃墟建設に関するデモは、しかし多くの外国人が興味を持つこととな
った。きっかけは父のデモ行進がユーチューブと呼ばれる動画サイトにアップされた事だった。最初に幾人かが興味を持ち
、この男は何のデモをしているんだと、コメントした。それに気が付いた日本人が、こいつは廃墟を建てたいと言って、そ
れを認めてもらうためにデモを行っている、と書きこんだ。
 それからアートに関心を持つものや、廃墟好きな外国人、さまざまな人が興味を持ち、それに伴って世界中で多くの議論
が交わされることとなった。
 そもそも世界遺産のほとんどが廃墟ではないか、廃墟とは我々の歴史の証人であり、私たちが二度と過ちを行さないよう
にするための戒めでもある。
 また、こう言った意見もあった。廃墟とは前衛芸術である、廃墟ほど人々の心に訴えかける作品はない。廃墟とは精神の
具現化であり、退廃の象徴、人間が向かう先である。
 そんな意見がちらほら出てき始め、外国では、アーティストが実際に廃墟を作り始めるまでに至っていた。
 廃墟作品や、作品を作る過程などを撮った動画がユーチューブにアップされ、その廃墟の余りの素晴らしい出来に、多く
の人が感動し、涙し、廃墟というものに興味を持つ人が着実に増えていった。
 フランスの有名アーティスト、ミシェル・コルトリーニが創った『廃墟を継ぐ者』と言う作品は、動画再生数、一億三千
万という驚異的な再生数を叩き出した。
 『廃墟を継ぐ者』と言う作品は、多くの廃墟が連なって出来た、巨大な作品だった。広大な平野に作られた作品なのだが
、これは紀元前から連なる各時代の廃墟を模して、それを順番に並べたものである。例えば石器時代の廃墟では、藁の家が
朽ち果てたような建物が建っており、その時代に使われた物を模した破損物などが置かれている。各時代特有の文明の廃墟
を作りだし、それを入り口から順番に観客は見ていく。旧石器から始まって、メロウィング朝時代、カペー朝時代、ブルボ
ン期、フランス革命期へと続いていく。もちろんすべてが廃墟であり、歩きにくいし、突然建物が崩れたりする。
 その他にもアメリカのジョン・ラッセルが創った『死んでいく希望』。
 これは何十年も見捨てられた学校の廃墟に、たくさんの奴隷の死体(を模した人形、かなり精巧でビックリする)を置い
たり、たくさんの朽ち果てた拷問器具を置いたり、子供の頭部(これも作り物)、たくさんの血の跡があったり、ガスマスク
や、銃(すべて壊れている)、そう言った刺激的な物をたくさんちりばめて、廃墟作品を作り出している。この人の作品も人
気だった。パイオニアと呼ばれたうちの一人だった。
 そうして、各国で廃墟ブームが巻き起こり、皮肉にも最初にデモを行った日本は、廃墟後進国としてブームから取り残され
ることになった。もちろん父はそれに対して憤りを感じていたが、その時は塀の中に入っていたため何もできなかった。





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