4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/01/04(金) 00:13:25.90 ID:3dmI/Z+Do
「……あ」
でしょう、と律子が苦笑をもらす。
「そこで言いたいことがあるなら、まだ何も諦めてないってことです」
それに、プロデューサーの直感は変なところで冴えてますし、と独り言のように呟いてから、律子は続ける。
「やりたいことを、やるだけやってみればいいんです。その気があればなんだって糧に出来ます。私は今ここに立っていますけど、ステージにいたこと、事務所のみんなと同じ時間を共有出来たことは、少しも後悔してませんから」
それに、とそこで一拍間を置いて、瞳に剣呑な光を宿らせる。
「私は伊達や酔狂でプロデューサーを目指してるわけじゃありません。これが私のやりたいことだし、目指す場所。自信を持ってそう言えます」
「やりたい、こと」
「ゆっくり考えて……って言いたいんですけどね、ずっと走り続けていかなくちゃいけないのが私たちなので」
陽の当たる場所。
それは追い求めなければ辿り着けない場所。
「そうやってちゃんと考えてみて、それでも裏方を望むなら、そのときまたお話しましょうか」
安心して下さい、こっちだって十分すぎるくらい大変で、そして同じくらい楽しいですから――そう微笑む彼女は、確かな自信に裏打ちされているように比奈には見えた。
――同時に、それはまだ自分にはないものだ、と。
「あの!」
「いつか……いつか、自分が自信を持って、胸を張ってあの場所に立てる日が来たら」
いつか、なんて言葉はまた怒られるかもしれない。けれど、比奈にとってそれはやはり『いつか』だ。
少なくとも、今はまだ。
9Res/9.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。