過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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17: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/04(金) 23:01:45.43 ID:yAr9XARu0
ほむらが歩く後ろを、頭半分は高いネミッサがついていく。どんどんと人通りの少ない方にすすんでいるようだ。無口で前方を歩く黒髪を、ネミッサはぼんやりと見つめながらついていった。正統派すぎるその髪質が光沢を放っている。戦塵にまみれている様子がないのが、なんとも羨ましい。

(あれ? 完全にストレートってわけじゃないのね)

先を歩くほむらの腰まで伸びた後ろ髪が左右に分かれていた事に気づいた。何かこの無愛想な少女の隠れた茶目っ気のように感じられる。正面から見ると凛とした歩きなのだが、後ろの左右にはねた後ろ髪がピョコピョコ揺れてなんとも可愛らしい。

「はー、なんか知ってるように歩くねー。私は一回くらいじゃ覚えられないなぁ」

聞こえているのかいないのか、ほむらは無言。手にはグリーフ・シードとは違う宝石を握っている。
その足がなにもないところでピタリと止まる。陰鬱な顔で振り返るほむらに気づかず、ネミッサがぶつかりそうになり、つんのめる。

「ここが結界の入り口。本来なら魔法少女しかあけられない」

「ふーん、『なんかある』のはわかるけど、開け方まではねー」

「開けるだけなら私がやるわ。中には使い魔しかいないし、それと戦って頂戴」

「それが試験ってやつね。いいわよ、やっちゃうから」

ほむらに協力をさせるには、『使える』と思ってもらわなければならない。少なくとも、この戦いに苦戦するようであれば、ほむらはネミッサを見限るだろう。それは避けたい。出来れば自分の戦い方と実力を知ってもらうような戦い方のほうがいいだろう。

「ちゃっちゃとやっつけて、ホムラちゃんのお眼鏡に叶うようにしないとねぇ」

「いいからとっとと行きなさい、怖気づいてない?」

「まさか? こう見えて、エグリゴリの悪魔と喧嘩したこともあるのよ」

ほむらには通じない武勇伝。ほむらはそんな無駄口を叩くネミッサの腰を足の裏で押し出すことにした。見事な艶かしい脚線美の蹴りには、茶目っ気というかある種のユーモアがにじみ出ていた。蹴られた当のネミッサはたまったものではないが。

「痛ったー。ああもう、なんなのよ」

つんのめりながらの抗議の声は結界内の不気味な装飾によって途切れる。悪魔の「異界」とは大きく異なる、ファンシーがどぎつい色彩とデザインは出来の悪いキュブリズム。
起き上がったネミッサの背中を、ほむらが両手で押しながら歩き出す。どうやら結界の中心を目指して移動しているようだが、まるでお化け屋敷を怖がる少女の動きにも思えて、苦笑いが出てくる

「押さないでよ、ちゃんと戦うからさー。ほら、こんなふうに」

無造作に片手を振りぬくと、一個の雷球がほとばしる。静かな中異様に大きな音がして、ひげの何かに直撃し叩き落す。予期せぬタイミングと音量にほむらが少しだけビクっとした。それを感じネミッサはにやにや笑う。
ほむらの手を背もたれがわりにし続けるのをネミッサは楽しんだ。だが、座る寸前の椅子を引くいたずらと同レベルで、手を引っ込められてはたまらない。ここは素直に真っ直ぐ立つ。真面目に戦う必要もあるのだから。
わらわらと近寄る使い魔たち。ネミッサは冷静に数と位置を確認する。ハサミを持った使い魔が5体。密集陣形(陣形をとる自我があるのかは不明だが)で自信満々に迫ってくる。シャキン、シャキンと小気味いい金属音を鳴らしながら迫る使い魔に、怯まず構える。口々に何かを歌いつつ突進してくるのが聞こえる。

(これ、広範囲ので一発じゃん)

「マザア・グウスにゃ興味ないわよ、消えなさい」

両手を広げ、掌に雷球をためる。最後尾の使い魔が範囲内に入ると同時に広域の電撃を解き放つ。やはり落雷に似た大きな音が響き、範囲内のおひげ使い魔を撃ち落とす。あまりの音にほむらが耳を塞いでいるのが、ちょっと可愛い。近すぎるのだろう、たぶん。
ほむらは舌を巻いた。ネミッサが普通の人間と違うのはわかるが、魔法少女にもならず、平服のまま高威力の電撃を放ったことに驚いていた。単純な戦闘でも利用できるし、魔法少女ではないのだから警戒されずに動かすことができる。真意はわからないが利用できる。ほむらはそう判断した。利用できなくなったり少しでも疑いがあれば捨てればいい。ほむらは非情にも方針を決めた。

(いい拾い物ね)

「あ、なんか焼け残ったわね」

真っ黒焦げになった個体の中に、もぞもぞ動くものがあったようだ。靴で踏んづけると、闇の塊となって崩れて消えた。
あまりにもあっけない、ネミッサの使い魔戦デビューの一部始終だった。

「どお、ホムラちゃん?」

ほむらは耳がしばらく聞こえないようでしきりに耳を叩いている。魔力で回復させるほどでもないのだろうが、ネミッサの言葉を聞きそびれた形になった。


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