過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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◆sIpUwZaNZQ
[saga]
2013/01/05(土) 15:56:44.44 ID:wOPwqajX0
魔女の孵化とほとんど同じタイミングでマミは中心部に到着した。天井のお菓子の箱から溢れるように落ちてくる魔女。それは結界内にいる四人を殆ど見ずに結界内のお菓子を夢中で食べている。外見といいそれだけ見れば害意のなさそうではあるが、魔女は魔女である。マミにとって、魔法少女にとっては狩るべき対象だ。まさに、魔女狩り。
マミの心は軽い。マミの戦いは、一切見返りのないものだった。グリーフ・シードが時折手に入るくらいで、襲われている人々を魔女や使い魔から救い出しても、感謝の言葉一つない。魔女に魅入られた人は助けられても、魔女に操られていた時の記憶が無い。また、助けたのちに警察沙汰になればマミは説明するすべを持たない。黙って立ち去らざるを得ない。
彼女が魔法少女になったのは、交通事故に合い、死にかけたからだ。両親は即死、歪んだ車体に挟まれ彼女だけ重体。意識が朦朧とする中現れたQBとまさに『悪魔の契約』したのだ。『生きたい』と。結果幼い彼女は一命をとりとめ、遠い親戚を後見人としつつ、中学を卒業するまで、と見滝原に留まった。魔法少女として生きるために。
孤独だった。
その孤独の中で、理解者はQBだけだった。遺産を奪おうとする大人たちから世間に疎い少女を陰日向から守ったQBをマミは家族のように、そして救いの主のように思っている。QBだけが、魔法少女の生き方を理解し、その手助けをしてくれていた。
そこに、ネミッサが現れた。まどかも、さやかもいる。三人ともマミの戦いを理解し、手助けをしようとしてくれている。
嬉しかった。特に、ネミッサはマミの境遇を理解した。涙もでないほど、悲しい顔で。あの表情は忘れられない。
嬉しかった。QBを追い出してまで一人自宅で号泣した。QBはマミの気遣いをするが、ネミッサのような表情で慮ることはなかった。ネミッサは始めて出会ったにも関わらず、だ。
またまどかは、ここに来る間にマミに約束した。魔法少女になってマミとともに戦うことを。それがマミには嬉しかった。
「もう、何も怖くない」
理解してくれる人がいる。頼ってくれる人がいる。支えようとしてくれる人がいる。
こころがかるくなった。
中心に来るまでに使い魔はいなかったため、マミの気力魔力共に充実している。無事なさやかとネミッサがマミに近づく。
「さぁ、一仕事終えて、お茶にしましょう」
いつもの明るい声。軽くなった心が、三人を安心させようといつも以上に明るい声を出させた。その明るさに自信を感じ安堵する二人に対し、ネミッサは恐怖を覚えた。ユーイチが頭をよぎる。
マスケットで殴打する。小型の魔女の頭部を踏むつけながら銃を撃つ。なすがままの魔女はそれをすべて直撃していた。リボンで拘束し、空中に固定するとそこにめがけ大技を仕掛ける。
瞬時に複数のマスケットを出し、それをリボンで包む。本来マミの固有武器はリボンだが、それでは攻撃力が足りないため、マスケットを編み出した。さらにそれをリボンで包み、魔力を上乗せすることで桁外れの威力を実現した。それにマミは名前をつけた。
「ティロ・フィナーレ」
轟音と共に吐き出される魔法の弾丸はまっすぐに魔女を直撃した。発動そのものに必殺技を云う必要はない。だが、そのための動作などで精神を高ぶらせ、威力や精度を上げることができる。轟音を上げて魔女に突き刺さる魔弾。
「やった!」
さやかが快哉を叫ぶ。だが、ネミッサは冷静に魔女から目を離さない。ほむらがいうほどの魔女だ。何かがある。だが、その何かがわからない。それはほむらとの連絡不足によるものだった。僅かな仲違いがマミを死地に追いやる。
直撃を受けた魔女から初めて目を離すマミ。背後にいた三人に顔を向ける。いつもの微笑みが、三人に向けられる。
「鹿目さん。終わったわ」
「はい、でもほむらちゃんが可哀想です。もう、ほどいてあげませんか?」
「ええ、もういいわね。暁美さんには謝らないといけないわね」
マミはふっと、体の緊張を解く。その横で、まだ戦いの目をしているネミッサに声をかける。未だネミッサを守るべきものと捉えてるマミは、彼女を戦わないものと思っていた。
「緊張しなくていいのよ。もう、終わったのだから」
マミのいつもの声色で、穏やかにネミッサを労る。だが、ネミッサの表情を観た瞬間に戦慄が走る。その目がマミと同じ一箇の戦士のものだと気づいた。その戦士が緊張を解いていない。その意味を知った瞬間、マミは再び心を戦いに向ける。だが、そのタイムラグは致命的だった。
「だめっ! くるっ!」
ぬいぐるみのような魔女の体から、その質量を無視するような巨大なモノが滑るように出てくる。巨大な牙を持つ黒いオタマジャクシのようなピエロ頭。そのコミカルな死神は、まっすぐマミ目掛けてその顎を開ける。
鮮血。濡れた音。
まどか、あるいは、さやかの悲鳴。
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