過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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44: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/05(土) 16:05:15.75 ID:wOPwqajX0
ほむらは焦っていた。今までマミと仲違いしたことは多かったが、結界内で拘束されることはなかった。そこまで警戒されていたという事実に愕然とした。だが、それでもマミを失う訳にはいかない。今回相まみえる魔女『シャルロッテ』は『何度も』マミを葬ってきた強敵だ。巨体に似合わないスピードでリボンに寄る拘束やマスケットの射線をはずすため、遠距離攻撃を主体とするマミには相性が悪い。望ましいのは接近しての攻撃なのだが……。
なぜマミを助けようとするのか、ほむらは心のどこかで考えてた。それを最初は戦力になるからだと自分で理由をつけていた。だが、本当にそれだけなのだろうか。自分を非常に警戒する相手と共同戦線を張れるのか不明だ。仮にそんな状態で戦っても、連携が取れずに各個撃破されるのが落ちだ。それならば単独で戦ったほうがい、と判断するのがほむらの思考である。
何よりも彼女はマミを恐れていた。信用できないからではない。彼女は一度殺されかけたのだ。マミに。

(なのに、なぜ? マミを助けたいと思うの?)

自分を拘束し、銃を向け、敵意を叩きつけ、挑発し、想い人との間に立ちふさがり、自分を導き、優しい微笑みをくれた。
感傷を振り払い結界中心に急ぐ。



そこでほむらが観たものは、立ちすくむまどかとさやか。そして、血まみれで伏すネミッサとマミ。

「巴マミ! ネミッサ!」

「ほむらちゃん!」

魔法を使うのも忘れ、血だまりに駆け寄る。近づく魔女に拳銃を撃ち距離を取る。着弾し爆発を起こす弾丸。ネミッサに融通してもらった銃と弾丸は今までのもの以上の威力で魔女を仰け反らせた。それで辛うじて時間を作ると、二人に駆け寄る。

(また、助けられなかった)

後悔があった。ネミッサとの僅かなスレ違いでマミの死神への対応をネミッサに伝えなかったのだ。自分への怒りと、魔女への怒りをないまぜになっていた。近くで膝をつく。悔しかった。協力者がいたにもかかわらず、自分の愚かさ故にマミを、ネミッサをも失ってしまった。
ほむらは崩れ落ちそうな顔をこらえ、僅かな可能性に賭けて治療魔法を施そうとした。魔法少女たちはその素質や願いにより得意な魔法に傾向がある。つまりほむらは治療の魔法が不得手なのだ。だがやるしかない。その決死の表情をまどかとさやかに見られたことに気づかないほどに必死になっていた。

「マミさん! ネミッサ! 生きていたら返事をして!」

だが、そのときリボンが動き、ネミッサの腕を縛る。千切れそうになっているネミッサの腕を固定するようにリボンが巻き付いていたのだ。丁度包帯のように。
マミは生きていた。大顎に気づいたネミッサがマミを引きずり倒し、反撃を試みたのだ。だが、魔女の動きが予想以上に早く、ネミッサの伸ばした腕が魔女の口の中に入る形になった。だがネミッサは些かの躊躇いもなくその口に腕を投げ出すと口内で最大限の電撃を放った。完全に閉じられなかったため、辛うじて噛み千切られることはなかったが、巨大な牙がネミッサの肩近くを貫いた。
ネミッサは意識が混濁しているのか、反応が薄い。腕の根本に切断しそうなほどの大怪我を負って無事でいられるはずがない。引きずり倒されたまま、マミは血まみれのネミッサの治療を行なっていた。

「暁美さん! 後ろ!」

再度襲い掛かる魔女に振り返りつつ反撃する。着弾と爆発で再び追い払う。

「無事、なの?」

自分に覆いかぶさるネミッサのしたからマミが這い出る。血だらけの姿だが大きな怪我はない。治療に長けたマミの魔法で辛うじて止血ができているネミッサの顔色が悪い。辛うじて意識があるのかほむらを見て、口を動かす。

「ほむ……、ごめ……、マミちゃんが……」

「喋らないで、あとは私が」

「マミちゃん……私はいいから、二人のことを……考えて」

ネミッサの云う二人はまどかとさやかのことだ。

『全員が危なくなった時、マミちゃんなら私達を守ると思うのは疑ってないよ。でも、そのとき自分を守らないよねマミちゃんは。そうしたら、二人を誰が守るの?』

「そうね……、わかったわ」

熱い血にまみれたまま、マミは立ち上がる。先ほどの浮ついた心が消え、凍てつくほど冷静な意識がマミを支配していた。
いつもの柔和な顔ではない。悲壮感すら漂う険しい表情は下がっている目尻を吊り上げる。戦う者の目だ。長年戦い続けたほむらが怯むほどの眼光が光っていた。血に染まった衣装が修羅を思わせる。

「暁美さん! 力を貸しなさい」

「は、はいっ」

ほむらが反射的に返事をしてしまう。魔法少女二人が魔女に相対し攻撃態勢を取る。状況が変わったことにわずかながら警戒をしているのか、先ほどのように無造作に突っ込むことはなく、様子をうかがっていた。
ほむらは、マミがネミッサを見捨てるようにマスケットを取り出したことに疑問を抱いた。一瞬魔女から目を外し、マミを見る。

「魔女から目を離さないで!」

「彼女はどうするの!?」

咎める声色のほむら。

「私たちは……あの二人を守らないといけないのよっ」

マミは口外にネミッサを見捨てると言った。ほむらはその勝手な言い草に怒りを覚えたが、まどかとさやかの姿が視界に入った時に、それを理解した。

「早く倒せば、助けられる」

突進をはじめた魔女に目を向けるとほむらはマミの手を取る。その状態で魔法を使う。ほむらの固有魔法が発動した。二人の周りに結界が生じ、その外側は暗い。結界の内側だけ、ほむらの認識したものだけが時が動く世界。



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