過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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60: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/01/06(日) 21:37:56.91 ID:WjAemYY10
「ねえ、貴女が苦しんでいるのはわかるの。なぜ、私を助けたのか。なぜ、魔法少女を増やしたくないのか。なぜ、貴女が進んで魔法少女の運命に飛び込んだのか。ちゃんと、苦しむほどの意味があるんでしょう?」

マミの優しさが沁みる。説明できないもどかしさゆえその優しさが苦しい。
自分のことなら話せるかもしれない。そう思ってしまったのはその苦しさ故か。

「あるよ、アタシにもホムラちゃんにも。アタシのなんて、ホムラちゃんのに比べたら大したこと無いけどね」

「事情を知っているってことね」

布団に突っ伏しながら、頷く。

「でもそれはホムラちゃんが話すべきことだし、そのために努力してるの」

「貴女のことなら、話せるんじゃないの?」

それからネミッサは考え考え説明した。

「アタシは自分の手で、リーダーを殺したわ。悪魔に取り憑かれて私達に襲いかかってきたからね」

「天海市の事件のことは聞いたけど、仕方ないことじゃない。……それじゃすまないことではあるけれど」

「アタシは助けたい人を助けられなかった。多分ホムラちゃんにとって、マドカちゃんは助けたい人なのよ」

ネミッサは、ほむらに自分を重ね合わせているのだろう。マミはそう理解した。それは間違ってはいない。

「でもなんで魔法少女にしたくないのかしら」

「それを話すための準備をホムラちゃんは頑張ってるの。もう少し待って」

「信用しているのね」

「ううん」

首をハッキリ横にふる。

「信頼よ」

マミはネミッサの言葉に、微かに嫉妬した。ネミッサがそこまで信頼するほむらに。理解者を取られたような気になった。

「……いいなぁ」

「ん? とにかくさ、アタシは自分ができなかったことをやってるホムラちゃんを助けたいの。それが出来なくなるのが辛いの」

再び布団に顔を埋め、表情を隠しながら話すネミッサ。
マミは嫉妬こそしたが、ネミッサへの親愛の情は些かも減らない。むしろ余計強くなった。今の状態を助けたいとも思っている。しかしそれがほむらへのちっぽけな嫉妬が引っかかり言葉を続けにくい。たとえ嫉妬がなくても、マミには打開策があるわけではないが。

(ああ、私、今すごい嫌な女になってる)

「ネミッサ、しばらくここに居候しない? 最初は怪我が治るまで、って思ったけど……暁美さんとの整理がつくまででいいから」

ネミッサがほむらの家で雑魚寝をしていたことは知っている。それを今回の『喧嘩』で居場所を失ったことへの配慮だ。

「いいの!? ありがとう」

ネミッサの屈託ない礼に、ちくちく良心が痛む。だが打開策も思いつかない限り、なんとかネミッサを支えたかった。それが逆にほむらとネミッサの距離を産んでしまうとしても。

(ごめんなさい、ネミッサ、暁美さん……。ああ、私は本当に、嫌な女)

生まれて初めて、自分を罵った。


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