過去ログ - ネミッサ「いつかアンタを泣かす」 ほむら「そう、期待しているわ」
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◆sIpUwZaNZQ
[saga]
2013/01/06(日) 21:50:28.80 ID:WjAemYY10
その翌日からは、魔法少女になるためのさやかの指導が始まる。世話好きなマミは嬉しそうに説明していた。嬉しいという晴れの表現が望ましいとはいえないが、少なくともマミはさやかを死なせないため、正義の味方にする努力を望んでいた。戦い方は遠距離近距離と違うが、魔力の使い方や心構え、魔女への対応などを指導する。
ネミッサは指導から外れている。魔法のシステムやら戦い方が違いすぎる。そもそもソウルジェムがないのだから仕方ない。
「気に入らないの?」
「あやさないでよ?」
部屋であぐらをかき、ふてくされるネミッサ。いつものように紅茶を出すマミ。ネミッサには紅茶の良し悪しは解らないため、マミの紅茶を飲んでもあれこれ言ったりはしない。だが知らず知らずのうちに外で紅茶を飲まなくなったのは確かだ。それだけマミの紅茶に『毒されている』のが見て取れる。無作法に飲んでもマミは微笑んで受け入れる。ティーカップの持ち手すら持たないと滑らせてしまうのだがお構いなしだ。
「ふてくされないの」
「だから違うってば」
ネミッサが気になっているのはさやかの契約のことではないし、教育を外れたことではない。今後どうなるかということだ。魔法少女の魔女化、佐倉杏子の動向、ほむらが挑む大きな魔女の存在。さやかに振りかかるそれを彼女ははね退けることができるか、どうすれば助けることが出来るか、そればかり考えていた。
自分が魔力を持った悪魔だとしても運命をはね退けるだけの巨大な力があるわけではない。ほむらはその細腕でまどかに振りかかる運命を打ち払おうと努力しているのだ。ほむらの力になるには、さやかでそれをやり遂げなければならない。そして、また信頼を勝ち取るのだ。
悩み苦しむネミッサを助けたくて、マミは背中から立膝で抱きしめる。ふわりと包み込むような優しい動き。
「ねえ、暁美さんもそうだけれど、私を頼ってはくれないの?」
ネミッサは無言。
「貴女や暁美さんは優しい子。そして不器用な子。人に頼ることが苦手な子」
以前、無言。ぶすっとした表情で茶を啜る。
「美樹さんのことは私に任せて、貴女は貴女の望むことをして?」
口元を真一文字に結んだまま。
「お願い……、私を頼って……、貴女の力に、ならせて」
マミの声がひび割れる。
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