過去ログ - 【Fate】アースセル「真なる聖杯を手に入れろ」【安価とコンマで聖杯戦争】 -SS速報VIP

過去ログ - 【Fate】アースセル「真なる聖杯を手に入れろ」【安価とコンマで聖杯戦争】

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9: ◆1Pf/z5mQfA[saga]
2013/01/05(土) 00:01:02.10 ID:bhLfiFVUo
巫条霧絵はその日、見えない瞳で月を眺めた

自分の”眼”に見えるのは果ての無い空

それは自分の持つ俯瞰風景

最近、自分の死を身近に感じていた

そして、あの聖杯戦争という戦いは
自分に、圧倒的なまでの死の奔流と生の鼓動を感じさせてくれた

きっと、二度と感じることは出来ないだろう
だから、それに一番近い死に方が自分らしいのかもしれない

だが、もしも、もう一度、叶えられるのなら
あの時、もう一人の自分を消滅したあの人の景色を見たい

天を覆う摩天楼　地を焼失する深淵
あれが、あの人の景色なのだろう

あれほどまでに、幻想的な世界なら、私は飛べるかもしれなかった

そんなことを考えている時だった

―――どうして、自分の頬に風が当たっているのだろう

窓は閉め切っているはずなのに、何故？

巫条霧絵の目の前に、圧倒的な存在感を感じる

それは、まるで夜を統べる者

ナイトウォーカー

きっとその形に意味は無い

夜の空が尚も黒い

それは蝙蝠の所為だろう

蝙蝠が月を隠している

ベッドが軋む音がする

何かが巫条霧絵に跪いている

―――あなたは、私の敵ね

そういえば、確か、誰かにこんな事を尋ねた気がした

その人は、まるで子供みたいで、
そして、自分をどこか遠くに連れて行ってくれるような気さえした

何かが風に揺られて音を鳴らす、それは大きなマントかもしれない

ようやく、何かの唇が動く
それは…どこか聞いたことのある声だ

―――いいえ、私は貴女のピータパンです

夢の世界、ネバーランドに行くことは出来ないし
自分も彼女も、少年少女じゃない

だが、彼女の…小さな願いは叶えることが出来る

貴方は、彼女を身体を持ち上げる　
彼女の膝を左手に乗せ、右手と自分の胸で彼女を支える

―――そして、貴方と霧絵の最初で最後のムーンウォークを楽しんだ

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