過去ログ - イチローが学園都市にやってくるようです -再試合-
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31: ◆I045Kc4ns6
2013/01/08(火) 22:24:57.39 ID:oV4kWqrS0

「ふぅ……」

洗い浚いあの時あった事を話し終わり、一息つく。
イチロー選手が現れて、バットで全員やっつけて、サインを書いてくれて……。
全部本当にあったことだ。嘘なんてついてない。
だというのにどうも白井さんの様子がおかしい。うわ言のように彼の名前を呟きながら机に頭を叩きつけていた。
イチロー選手に会ったのがそれほどまでに羨ましかったのかもしれない。
初春は初春で目を爛々と輝かせて私の話を聞いてくれた。やはり全盛期が何とか……とぶつぶつ独り言を言っている。
風紀委員の仕事そっちのけで物思いに耽っている二人に仕事に関して注意を促したがものの見事にスルーされる始末である。

「あ!佐天さん……これって……!?」

「うん?あぁサインボールだよ羨ましいでしょ!えへへ……」

サインボールに食いつく初春を苦笑いでその様子を眺めながら、佐天はあの時のことを思いかえす。
何でも話すと決めた事情聴取であったが、実は話してないことがある。
それは私の頭を彼が撫でてくれたこと、私のことを強いと言ってくれたこと。
一番の理由は恥ずかしいからってことだけど、あの時のイチロー選手は野球界のヒーローではなく、私だけのヒーローだったから。
そのヒーローから貰った私だけへの言葉。
誰にも、例え初春でも教えたくなかった。誰かに話してしまったその瞬間から、私だけのヒーローが、言葉が、皆に共有されてしまうから。
我ながら独占欲強いなぁと思う。
初春に悟られないように自嘲気味に笑ってみる。どうやらあの時以来、私の中の大半をイチロー選手が占めているようだ。
彼は言った。「また会おう」と。
しかし実際にはそう簡単にできるものではないだろう。
だから今夜は今日の出来事を、彼のことを考えながらベッドに身体を沈める。
きっと明日も明後日も、しばらくは続けていく。

夢の中くらいなら会えるよね。神様、私の我侭を聞いてください。



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