1:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 13:07:32.17 ID:dltAFUlI0
「ねぇ、どうしてこの世には魔物がいるの?」
幼い頃、私は“先生”に聞いたことがある。
その時の答えは忘れてしまった。
19になった私が知っている事といえば、この世に魔界なんか存在しなくて。
誰もどうして魔物が存在しているか知らないのだという確信だけだ。
私は裕福に育った方だ。
肉親は叔父と、放浪癖のひどい“姉”だけだけど。
今の自分は幸せなほうだと思う。
不満はないが探究心はある。
「どうしてこの世には魔物がいるの?」
幼い頃からこればかり考えていたんだから。
魔物が憎い訳ではなく。
私に被害が及ばないのであれば、別に戦いたいとも思わない。
この探究心は私にとって、それほどに純粋なものだった。
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2:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 13:17:12.67 ID:dltAFUlI0
「時は満ちた、と言ってみる」
黒ずくめの魔女は、容姿から年齢がとても分かりにくい。
赤子ではなく、老婆でないことは確かなのだが。
一見するとうら若い少女のようなのだが、
3:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 13:30:35.62 ID:dltAFUlI0
準備万端で、村をあとにした少女は最寄りの村で
準備不足に気がついた。
この冒険、一人だけではいささかつまらないのだ。
昼間に街道を歩くのみならば、それほど魔物に襲われる心配もないのだが。
4:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 13:42:23.38 ID:dltAFUlI0
就寝していた少女だが、お約束のように外が騒がしい。
けれども少女は非常に眠たい。
「だって、夜は眠るものだって、相場が決まっているでしょう?」
「魔物が村の作物を荒らしてるらしくてね、そいつを追っ払ってる最中みたいだ」
5:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 17:46:12.84 ID:dltAFUlI0
騒音が大きくなってくる。
ぎゅっと、鞘を握り締める手に力が篭っていて。
少しどきどきしているのが自分でも分かった。
「あの……っ」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/01/09(水) 18:15:32.06 ID:xFd/KNzlo
期待
7:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 20:07:59.74 ID:dltAFUlI0
それでもきちんと私の体は動いてくれて。
半歩体の重心をずらすと、魔物の毛が私の頬をかすめる。
こんな感想もどうかと思うけど少しくすぐったい。
普通の動物と生きていることは変わらない。
8:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 20:30:02.33 ID:dltAFUlI0
夜を寝なかったのは致命的だと思う。
眠くて、頭が痛くて、気持ち悪くて。
あと、とても眠い。
それでも勝手をしてしまった村にいるのは居心地がいいとは言えなくて。
9:ほぐわーつ ◆lcJW1jB9sw[saga]
2013/01/09(水) 21:43:10.60 ID:dltAFUlI0
「冒険者さん、よくおいでくださいました」
訪れた村でやたらと歓迎された。
とにかく眠かった私は薄っぺらい愛想笑いを返すだけ。
宿屋の部屋に通されてから。
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