過去ログ - 御坂「あんたなんて」食蜂「大嫌いよぉ」
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129:>>1[saga]
2013/01/12(土) 01:47:48.83 ID:DfwHrfDAO
〜10〜

鳴護「ありがとうございました」

響き渡る拍手、湧き上がる歓声、犇めき合う人々の黒山が第七学区の野外コンサートホールに谺して行く。
その中心にて喝采を受けるは鳴護アリサ。嘗て『エンデュミオン』に於ける事件に巻き込まれた少女は――
今も尚、歌い続けている。『いつかおっきな場所で私の歌を届けたい』と告げた少年少女(ともだち)……
上条当麻、インデックスが学園都市から姿を消した後も変わる事なく。だが唯一変わった点を挙げるならば

鳴護「(……やっぱり、いるはずないよね。馬鹿だなあ、私)」

歌を聞きに来てくれる人々の中に、人波の中に、人山の中、人混みの中に、上条達を探してしまう事だ。
歌い続けている限り、またいつか彼等に巡り会える。例え離れていても、いつか自分の歌声が届けばと。
そう思いながら鳴護はアンコールに備えて舞台上から一度はけ、一息吐いて春めく青空を見上げた所で。

鳴護「!!!!!!」

天上に坐する太陽が日蝕を迎えたが如く黒く塗り潰されて行く。それは勿論、蝕でも無ければ雲でもない。
鳴護は知らない。それが『ラジオゾンデ要塞』と言われる人工物が学園都市上空に舞い降りて来た事など。
鳴護は知っている。その『ラジオゾンデ要塞』が取り付いた先が宇宙エレベーター『エンデュミオン』と。
吹き下ろす暴風、吹き荒れる颱風、吹き抜ける逆風に抗うようにして我先にと駆け出す人々の中にあって。

「――アハハハぁ、まるで出来の悪いパニック映画みたいねぇ?」

鳴護「!」

「――残念。貴女のアンコール力、楽しみにしてたんだけどねぇ」

蜂の巣をつついたような騒ぎの中、悠然と観客席に腰掛けていた一人の少女が重い腰を上げるように――
鳴護を見据えながら立ち、紺色チェック柄のスカートの裾を払い、風に靡く細金細工の髪を掻き上げる。
その制服に鳴護は見覚えがあった。常盤台中学校。レベル0の自分で門を潜るどころか扉すら叩けない。
そんな少女と鳴護を残して閑散とするコンサートホール内に尚も渦巻き逆巻く風が花嵐に取って代わる。

鳴護「それはどうもありがとう。貴女は逃げなくても良いの?」

「逃げないわぁ。私にはまだやらなくちゃいけない事があるの」

斯くして物語はここに第二幕を迎える。幽閉された御坂美琴、救出へ向かう白井黒子、そして今一度――




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