過去ログ - 御坂「あんたなんて」食蜂「大嫌いよぉ」
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52:>>1[saga]
2013/01/12(土) 00:07:41.99 ID:DfwHrfDAO
〜36〜

御坂「目を開けてよ!返事してよ!起きてよ!お願いだから!」

食蜂「――――――」

御坂「食蜂!」

シェリー達を振り切り、御坂はロンドン市内であるという事以外右も左もわからぬ路地裏の廃屋にいた。
日本ではあまり見られない半地下フラットであり、当然の事ながら家具はおろか毛布一枚見当たらない。
壁紙すらないコンクリートの打ちっ放しの床面が、ずぶ濡れになった二人の曲線に合わせて染みを描く。
御坂はまず食蜂の身体を横向け、背中を叩いて、水を吐かせて、何度となく頬を張り、呼び掛け続ける。
反応が返って来ない。口元に耳を翳す、呼吸が感じられない。胸元に耳を当てる、鼓動を微かに感じる。

御坂「(やるしかない!)ファーストキスだったらごめんね!」

右手を額に当て、左手を顎に添え、気道を確保する。既に三分以上経過している。このままでは危うい。
右手で鼻を摘み、唇を重ねる。ゾッとするほど冷たく、柔らかい。息を吹き込み、豊かな胸元を見やる。
一秒かけて二度息を吹き込むと動いた。気道は塞がっていない。水を吐かせたのが幸を奏したのだろう。

御坂「(動け!動け!動け動け動け動け動け動け動け動け!)」

息を吹き込む、泥水の味がする。息を吹き込む、冷たい舌を感じる。息を吹き込む、真っ青な唇が動く。

食蜂「げほっげほっげほっげほっげほっげほっげほっげほっ!」

御坂「(やったわ!呼吸が戻った!良かった!間に合った!)」

食蜂の真っ白な肌が震え真っ青な唇が動き、御坂が口を離し手を退かす。しかし喜ぶにはまだ早過ぎる。
息こそ吹き返したものの、頭を強打している可能性と、下がりきった体温が齎す危険性は無視出来ない。

食蜂「寒い……寒い……」

御坂「服、脱がせるわよ」

食蜂「はぁ、はぁ、はぁ」

御坂「(電気もガスも水も通ってないんじゃ、こうするしか)」

御坂が食蜂の衣服を脱がせ、自らも下着を外して抱き寄せる。身体を揺すり、肌を擦り、体温を上げる。
毛布などと贅沢は言わない、せめてカーテンでもあれば良かったのだが、半地下フラットに窓など無い。

食蜂「うっ、うっ」

御坂「大丈夫……」

食蜂「んっ、んっ」

天上から降り注ぐ雨、地上へと流れ落ちる水の音に追っ手の足音を聞き逃さぬよう、小声で囁きかける。

御坂「大丈夫……」

自分に言い聞かせるように。




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