過去ログ - 御坂「あんたなんて」食蜂「大嫌いよぉ」
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53:>>1[saga]
2013/01/12(土) 00:08:08.77 ID:DfwHrfDAO
〜37〜

ここで見つかったら無条件降伏しようと心に決めた。『他人を巻き込みたくない』なんて言っといて……
もう十分巻き込んでるじゃない。とばっちり食らわせてるじゃない。本当にもう何やってんだろう私……
危うく死ぬ所だった。私じゃなくて食蜂が死ぬ所だった。そう思うともう私の事情なんてどうでもいい。

御坂「私のせいだね」

食蜂「………………」

御坂「本当にごめん」

もう色んな感情が、全ての絵の具を混ぜ合わせたみたいにグチャグチャで、そのくせ中身は白紙みたいだ。
あいつがいるかも知れない所まであと一歩だった。だけど食蜂が死ぬかも知れない所まであと一歩だった。
そう思うとあいつへの愛おしさや食蜂への憎らしさまで無色透明になって、点も線も面も結ばなくなった。

御坂「朝になったら、学園都市に戻ろう。それまでは私が……」

食蜂「………………」

御坂「私があんたを守るよ。最悪、あんた一人でも帰すからね」

愛しいあいつも、憎いこいつも、伝わる温もりと感じる暖かさは同じだった。こうしてると思い出すわ。
あの日もこんな風にあいつと裸で抱き合ってた。今はこいつを抱き締めてるって違いはあるけれども……
耳に感じる不規則的な雨音と、肌に感じる規則的な鼓動が連弾みたいに白黒の記憶を呼び覚まして行く。

御坂「情け無いけど帰りの飛行機代貸してね。私無一文だから」

食蜂「………………」

御坂「あっ、私パスポート無くしちゃったんだ。どうしょうか」

思い出したくない、だけど忘れたくない。こうして寝てるこいつに独り言でも呟いてないとおかしくなる。
もう突っ張る元気もない。もう突っ走る気力もない。お腹空いた、喉乾いた、身体が冷たい。心が寒いよ。
一人になったら死にたくなる。二人でいても死にそうになる。それを思うと涙が滲んで、溢れて、零れて。

御坂「う゛っうっぅ」

涙が止まらない。嗚咽が止められない。心細くて。心寂しくて。

自分の弱さ、自分の甘さ、自分の醜さに自分で自分が情けない。

これが映画(たにんごと)なら、ラストまで見ていられるのに。

これが小説(たにんごと)なら、泣いたり笑ったり出来るのに。

これが――




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