過去ログ - 御坂「あんたなんて」食蜂「大嫌いよぉ」
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[saga]
2013/01/12(土) 00:43:45.79 ID:DfwHrfDAO
〜26〜
御坂「………………」
聖ジョージ大聖堂地下墓地。そこに広がる、文字通り『地獄絵図』に御坂は二の句が告げないどころか。
御坂「(吐きそう)」
偏頭痛がするほどの腐敗臭、嘔吐しそうな死臭、月の物の数万倍も酷い血の臭いに思わず口元を覆った。
歩く度に干からびた髑髏が割れる音が、蠢く蛆虫が潰れる感触が足裏に伝わる。もうこの服は着れない。
罅割れた砂時計、腐り落ちた果実、砕け散った弦楽器に敷き詰められた道の上を御坂は行く。まるで……
御坂「……例えでも何でもなく、本物の地獄そのものじゃない」
ステイル「そうとも」
御坂「!?」
ステイル「――何をそんなに驚く事があるんだ?“超能力者”」
死を司る静物画ヴァニタスのようだと柳眉を顰める御坂の下へ、眉間に皺が寄りそうな煙草の匂いが……
鬼火を思わせる炎と、亡霊を想わせる紫煙に乗って運ばれて来る。暗闇の中にあってさえ目立つ赤い髪。
御坂「――誰よあんたは」
ステイル「ステイル=マグヌス。初めましてだね“御坂美琴”」
――イギリス清教の神父にして必要悪の教会の魔術師ステイルが何百本もの十字架に囲まれ姿を現した。
この無限回廊を思わせる『地獄』で初めて出会った人間(てき)に、御坂の顔に喜色はない。むしろ――
御坂「……皮肉な話よね。もう敵しか私の名前を呼んでくれない。だけど、もうそんな事どうでもいい」
ステイル「………………」
御坂「上条当麻(あいつ)を返して。でなきゃ私、自分で自分が何するかわかんない所まで来てるのよ」
ステイル「――此処に“上条当麻”なんて男はいない。少なくとも君の知る“上条当麻”は“死んだ”」
その顔色が力を使い果たしかけた蒼白をも塗り潰して余りある赫怒に染め替えられる。またかと思った。
何故誰も彼も『上条当麻は死んだ』の一点張りなのかと。死んだなら何故こうまでして自分と上条を――
御坂「――いい加減にしてって言ってんでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
引き離そうとするのかと、御坂は少ない余力と共にこの地獄に流れる血の河から水分子をかき集めて――
紅き翼を背負ってステイルを睨み付け、対するステイルはそれを見るなり指に挟んだ煙草を弾き飛ばし。
ステイル「――なら見せてやる。君が望む絶望(しんじつ)を」
ルーンのカードを取り出し、それが瞬く間に燃え盛ると同時に。
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