175:絶ゴミ123 ◆9ykK02ROec[saga]
2013/04/29(月) 23:57:20.37 ID:lAzAdbvB0
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「ふむ、それで人を探しにこの樹海に入ってきたわけじゃな?」
老人の言葉に、背古井はうなずいた。
「ええ。ですので我々は五味たむろくんを見つけ次第、ここから去る予定です」
背古井がそう言うと、老人は笑い、老人の後ろにいる男たちは呆れた顔をした。
「我々とて好きでこんな樹海の奥で暮らしているわけではない。
ここから俗世に帰れるならとっくに帰っておるわ」
「私たちは目印にロープを張って来ています。あなた方も一緒に帰りましょう」
老人の言葉に、皆本がそう答えた。
そこに、タイミングよく若い男が入ってきた。
「ダメです、ロープは象が暴れたせいであちこち千切れています。
追跡不能でしょう」
老人は、ふぅっと小さくため息を漏らした。
「象だけではない。この樹海には魑魅魍魎が存在しての。その程度では帰れぬ。
おとなしくこの村の住人になりなされ」
「ちょっと、それホントの話!?」
由羅は辺りを見渡した。
視界には木の枝や枯れた草で作った粗末な竪穴式住居が並ぶ。
大人も子供も、腰蓑や動物の皮で作った簡単な服を着ている。
まるで、お話の中のような原始的な世界。
それが、この樹海の中の村の生活だった。
「じょ、冗談じゃないわ」
紫穂が冷や汗を流す。
「おなごよ。そうは言っても、他に行き場所などないぞ?」
「ウチが何とかしたる!」
葵は瞬間移動をしようと小指と人差し指を立てる。
しかし、何も起きなかった。
「ふむ、瞬間移動能力者じゃな。しかし一人瞬間移動能力者がいるぐらいで
ここから出られるなら、村など出来ぬわ」
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