9:絶ゴミ008 ◆59WingzUMY[sage:saga]
2013/01/12(土) 12:48:04.03 ID:zcq42nJF0
こぶしを握りしめ歯ぎしりをする薫の姿に、皆本は安心した。
悔しがる元気があるなら深刻なダメージはないだろう。
「しかしすごいネ、薫クンにパワーで勝ってしまうとは」
「炎上寺由羅は肉体の強化――つまり怪力に特化した念動能力者です。
離れた場所にあるモノを動かしたりはできませんが、
得意分野の怪力に関して言えば超度7並の威力を発揮できます」
驚く桐壺に、朧が資料を見ながら解説した。
その炎上寺由羅はピースサインをして勝利をアピールした後、
小走りに薫に近づいた。
「ごめんね、痛かった?」
そう言って、由羅は薫に手を差しのべた。
「あ、いや、大丈夫」
思いのほか優しい対応に、薫は少しテレてその手をとった。
「ほう……性格もなかなか良い子じゃないカ」
まるでスポーツのようなさわやかな情景に、桐壺は心を和ませた。
これなら、今後とも仲良くやっていけそうだと判断したのだろう。
「しかし、彼女は――」
朧が懸念すべきところを言おうとした時だった。
「痛ってぇーっ!」
そんな叫び声と共に、薫が念動力で由羅を吹き飛ばした。
由羅は屋根にぶつかって、床まで落ちた。
「ちょっと、いきなり何するのよ!」
由羅は立ち上がりながら抗議した。
「それはあたしのセリフだ!握手のフリして手を握りつぶそうとしただろ!?」
「ハァ!? あんたみたいなお子さんじゃあるまいし、そんなイタズラしないわよ」
そして、険悪なムードの言い合いがはじまった。
「炎上寺由羅さんは自分の怪力をあまりコントロールできないんです。
リミッターをつけても彼女の力を完全に防ぐことはできません。
特に、感情的になったときにはほとんど制御がきかないようです」
朧は冷や汗をながしながらそう言った。
(また面倒ごとを押し付けられちゃったのかナ? これは)
桐壺は自らの冷や汗をハンカチでぬぐった。
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