過去ログ - オッレルス「安価でいちゃらぶ旅行…?」フィアンマ「…ん」
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39: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/01/18(金) 22:51:00.27 ID:A8LUTjqy0

風呂場。
入浴というのは、基本的に一人でするものだ。
片腕が無いといえど、プライドの高いフィアンマはシルビアに頼ることもなく、一人で入った。
それは拾われて一週間後からずっとそうだった。
動けないのであればともかく、動ける間は誰に世話をされることも気に入らない。
完全な自立でもあり、完全な拒絶でもあった。
今まで居た立場的にも仕方ないか、と肩を竦めて、シルビアは思い出した様に買い出しへ出かけ。
オッレルスはまだフィアンマを意識していなかった為、暇を持て余していた。

バーンッ、とドアが開き。
中から、咄嗟にバスタオルを巻いたフィアンマが飛び出てきた。

襲撃者だろうか、と思わず身構えたオッレルスに対し、フィアンマは半泣きで助けを求めた。
"あの"右方のフィアンマが、ほとんど泣きながら。

『ご、ごき、ご、ごご、』
『ご……?』
『ごき、…ごき、…ご…』

ロクな言葉を発さないまま、フィアンマはぐし、と目元を拭う。
ぶんぶんと首を横に振ってオッレルスに抱きつく彼女を追う様に、ゴキブリが浴室から出てきた。
シャンプーの匂いがする濡れた髪やら、胸元に感じるほんのりと柔らかい感触やら、普段の矜持はいずこへ、泣きじゃくる彼女やら。
様々なものに気を取られながらも、ゴキブリ自体は別にそこまで怖くないオッレルスは、淡々と処理をした。

『…もう片付けたよ。……フィアンマ?』
『…も、…戻れん』
『? もう居ないのに?』
『…ヤツが伝ったと思うと、裸足では立てん』

身体に巻いたバスタオルの胸元部分をぎゅうっとキツく握って。
震えた声でそう言う彼女は、紛れもなく頼りない細身の少女だった。


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