5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:30:21.98 ID:Z2MY10hv0
お風呂場は、ラベンダー特有の、どこか落ち着くような香りが漂っていた。湯船の中は、たしかに紫色だ。
ラベンダーというと、わたしは『時をかける少女』を思い出す。アニメのバージョンも好きだけど、そっちではなくて、筒井康隆の原作の方だ。
昔から引っ込み思案のわたしは、そういう空想小説みたいなものを、よく読んで過ごしていた。小説の世界に思いを馳せているあいだは、少しだけそっちの世界の住人に近づけるような気がしていたから。
わたしは髪の毛を洗い、それから体を洗って湯船につかる。片足ずつ、慎重に。両足いっぺんだと、わたしには熱くて我慢できないのだ。
肩まで浸かって。ああ、気持ちいいなぁ。お風呂に入る瞬間は、人生で二番目に気持ちいい瞬間だと思う。ちなみに一番は、眠りにつく瞬間。
全身が温まったところで、わたしは湯船から出た。
あいにく、バスタオル姿で人前に出る勇気は持ち合わせていないため、脱衣所兼洗面所から出ないでパジャマの袖に腕を通す。
脱いだ方の服を畳んで、わたしは居間へ向かった。
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