過去ログ - 遊び人「画期的な戦闘方を考える」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/14(木) 08:44:39.79 ID:h2soZfwC0

香水を渡された後、私は通常通りの仕事を終え、いつもより早く、床に就きました
 旦那様は、相変わらず野菜を食べようとしません、あれほど栄養バランスが乱れると申しているのに…
香水に気付いてくれなかったのも少しだけ…いえ、結構残念でした、明日は孤児院へ行く日です、気持ちを切り替えましょう

―――
――


翌朝、私は旦那様の馬車に乗り孤児院へ向かいます、その際に門の所に正午には戻ると書いた札を掛けて置きました
 …あの遊び人さん、名前も訪れる時間も指定しませんでしたし

「いつも、すまないなジョセフィーヌ」

「いえ、メイドの務めですから」

身寄りの無い私を孤児院から引き取ってくれた旦那様には感謝しています
旦那様は王国の騎士団の方に顔が利くらしく、兵士達が街を警護してくれるのも旦那様の口添えのおかげです
そして…

「伯爵様、いつも当院にご寄付をいただきありがとうございます」

「いえ、未来ある子供達の支援は当然のことです」

「伯爵様…」

「子供達もいつかは大人になる、成長した彼らが私の楽しみになる、ただそれだけですよ」ニコ

旦那様が院長と話をしている間、私は孤児院の子供達の遊び相手をします、私は皆よりもお姉さんですからね

「おねぇちゃん、ごほんをよんで」

よく私に絵本を持ってくる男の子です、タイトルは[もりのえんかい]です
私が本を読み聞かせようとするといつの間にか沢山の子供達が集まっていました

「ねぇねぇ、はやくぅ」
「きょうは、なにをよんでくれるの」
「あとでおままごとしようよ」

微笑ましい気持ちで私は絵本を読み聞かせます、ページを開くと、森の中で道に迷った旅人が3匹の熊に助けられているというファンシーな場面が描かれていました、お父さん熊、お母さん熊、赤ちゃん熊の3匹です
 夜も深く、一人で森を出るのは危険な暗さ、熊の一家についていくとウサギや鹿といった森の動物達が焚き木を囲んで踊っています
テーブルの上には、ワインや見たことも無い御馳走が並べられ、皆、楽しそうに歌って、踊っています
旅人も、動物達に混ざって、宴会に参加しました、歌って、踊って、ワインや御馳走がなくなるまで、動物達と夜明けまで楽しみます
 そして、夜が明けて、静寂に包まれた森の中で動物に別れを告げ、旅人は街へと返っていきます
…絵本の内容はこんな所ですね

「君、そろそろ、屋敷に戻るよ」

「はい、旦那様」

私達は孤児院を後にし、屋敷へと帰ります
屋敷の門の所まで来て私は馬車を止めました、到着したから止めた訳ではありません、人が座り込んでいたからです

「よぉ、嬢ちゃん」

ブカブカの黒いコート、目元のクローバーのマーク、星のイヤリング、こんな格好の人間、見間違える筈がありません
…この人、いつから座り込んでたんでしょうか?

「いやぁ、待った、待った、かれこれ3時間待っちゃったぜ」

…3時間、座ってたみたいです

「…知り合いかね?」

………、知らない人ではありませんが、旦那様、そんな怪訝そうな顔で私を見ないでください

屋敷の応接室に招き入れ、私は、お茶とをお持ちします、旦那様にはいつも通りコーヒーをお持ちしました

「ふむ、なかなか良い品だね」

「どうです、お一つ、お安くいたしますよ!!」

やっぱり、この人は単なる宝石商なんじゃないでしょうか?昨日、持ってきた装飾品を買わないかと、話を持ちかけてきます

「いや、結構だよ」

交渉決裂です、遊び人さんは見て分かるように落胆していました

「はぁ、そうですか……、ところで、伯爵様、何点かお尋ねしたいんですが、宜しいですかねぇ」


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