過去ログ - 眠り姫をおぶって山登りはキツい。
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6: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2013/01/17(木) 02:26:09.39 ID:ImpwMRpT0
『お、男くんはさ、好きな人とか、とか、いるの?』

学校の帰りに近くの喫茶店へ寄った時のことだ。
どう答えるのが適切かな、と考えて。

さあ?

とはぐらかした。

『ず、ずるいんじゃないかなーそういうのって!』

そう?

『そうだよ、だってさ? だってさ……ゴニョゴニョ』

この頃の僕は女さんに好かれているかも、なんて甘い期待はしていなかった。
根っからネガティブな方だから。

『仮にさ、誰かに付き合ってって告白されたらどうするの?』

女さん以外に告白されても困る、と考えて。

断るかな?

『そ、そっかー。断るかー、そっかー、あははー』

遠目で窓の向こうを見詰める女さん。
視線の先にあるのは精々工場の煙突から吐き出される煙ぐらいだ。

ばちんっ、と唐突に女さんが自分の頬を叩く。

『あう』

余程強めに叩いたのか頬が赤かった。
可愛かった。

『だからどうしたって話なわけでさ、うん。そうだよ、うん!』

どうしたの?

『男くんが好きです付き合ってください!』

衝撃的な言葉に、どれぐらいだろう。
女さんが沈黙の緊張に耐えかねて涙ぐむぐらい放心していた。

答えはもちろん――喜んで。

あの時の女さんの笑顔が忘れられない。
彼女の周りだけ妙に鮮やかだったのは、気のせいじゃないはずだ。



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