7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/18(金) 19:27:18.10 ID:16wrmhbw0
私は両手で梓の柔らかそうな頬を軽く包んだ。
温かい頬。
上下に動く小さな胸。
小柄な身体と子供っぽい外見。
気を許した猫みたいに腹を出して寝る梓。
小さくて生意気で寂しがり屋で頑張り屋の後輩――。
この一年、梓は部長として一人で頑張って来た。
先輩の私達に頼ろうとせず、新生軽音部を引っ張ってくれた。
勿論、憂ちゃんや純ちゃんの支えもあっただろうけど、
何だかんだ言っても、二人とも新入部員には違いないんだ。
だから、二人の分も引っ張らなきゃ、ってずっと気を張ってたんだと思う。
気を張ってたから小さな事でも一喜一憂して、泣いたり笑ったり、目まぐるしい一年だったはずだ。
私にそれが出来るのかな、って思う。
私は部長だったけれど、同級生の皆が居てくれたから気楽に頑張れた。
皆に支えられて、部長をやって来られた。
だけど、梓は自分以外新入部員って状態で部長になった。
気の知れた友達が二人居ると言っても、どれだけのプレッシャーがあっただろう。
私達先輩に負けないように――、
後輩に楽しい思い出を作ってもらえるように――。
真面目な梓だから、それこそ精一杯頑張ったんだろう。
慣れないボーカルなんてのもやったりして、自分に出来る限り――。
「やっぱりおまえは天使だよ、梓」
気付けば、私はらしくない恥ずかしい言葉を言ってしまっていた。
でも、それは本心だ。
ただそれは可愛いっていう天使のイメージから出た言葉じゃない。
私達を導く天の使い的なイメージからの言葉だ。
私達四人だけだった軽音部。
四人だけなら、こんなにも音楽を頑張ろうとは思えなかったかもしれない。
こんなに音楽を好きになる事も無かったかもしれない。
梓が居なければ、いつまでも今より適当な部活を続けてたかもしれない。
だから、梓と出会えてよかった――って、心からそう思う。
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