過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：六巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：六巻目【都市伝説】

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925:1[saga]
2013/01/27(日) 23:05:20.75 ID:blHI52Qoo
京太郎「ニーチェが表した有名な言葉だ。『神は死んだ』ってな」

『神は死んだ』。ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの言葉である。
その解釈は多々あるが、その一部だけでも都市伝説と深い関わりがあることが伺える。

神を崇める宗教とは、個人主義や科学崇拝といった存在とは対極にある。

すなわち、現代における個人を重んじる風潮や科学の発展と共に、真の意味での信仰は薄れていったのである。

そもそも、宗教と神の普及とは貧しい者・劣等の立場に立たされた物に対して『救済』や『希望』を見せる事で行われる。

キリスト教も、イスラム教も、仏教も。
社会の底辺より生まれ、虐げられる者達を中心として広まったのだ。

北欧やケルト、ギリシャなどの神話はまたこれとは別枠であるが、こちらの陳腐化は宗教より尚早かった。

そんな『倫理の普及』と『神への信仰』という側面を持っていたのが、つまり宗教というもの。
だがそれは、神への信仰という部分が陳腐化しかねないということを示していた。

宗教の教えが神への信仰や感謝ではなく、常識や倫理の一部へと変化していってしまったのである。

無論、それは宗教が蔑ろにされているというわけではない。

ただ単に、昔の信徒は
『偉大な神を崇めるため』
『この素晴らしい教えを広めるため』
『神の教えに感動したため』

と言った理由で入信していたのが、今の信徒は

『親がそうだったから』
『それが常識だから』
『仲間外れは嫌だったから』

と言った理由で入信しているのである。

これでは、『神を信じる』もクソもない。
形骸化の果てに、神は本質的に誰にも信じられることはなくなった。

これがつまり、ニーチェが提唱した『神が死んだ理由』の一つ。

メジャーな宗教の神々を殺し尽くした、人の意識の変遷である。

京太郎「つまりだ。宗教は『常識』や『倫理』の中に溶け込んで、『信じられる物』から『当たり前の物』に変わっちまったって事」

憧「戒律は守る。でも、当時の人達のような形で神様を信じている人達はほとんど居なくなってしまった……そういう事？」

京太郎「そういう事だ」

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