過去ログ - かずみ「from Connect to Luminous」
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/26(土) 22:36:06.63 ID:rV1mNpfso

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「まったくもう、心配したんだぞぉかずみ!」

「う、うん……」

  見知らぬ女の子に手を引かれながら、かずみは夜の街を歩いていた。
どうやら彼女は記憶を失う前の自分と交友関係にあったらしい。
立花が鍵を外して店に招き入れると、彼女はかずみと並んで写っている写真を見せ付けた。
そして強引にかずみを連れ出したのだ。

  季節的にはもう春のはずだが、やはり夜は冷える。
薄いTシャツ一枚だからか妙に肌寒いのを我慢して俯いていると、

「寒いか?」

  女の子が心配そうに顔を覗き込んでくる。
かずみは心臓がドキリと弾むのを自覚し、思わず顔を赤らめた。
深い意味は無い。妙な意味も無い。ただ記憶を失ってからこっち、会う人会う人に心配されているなと思っただけだ。
自分は幸せ者かもしれない。
鼓動が収まる頃合を見計らってかずみは首を左右へと振った。

「ううん、だいじょうぶだよ。えっと……」

「カオル。牧カオルだよ。やっぱ憶えてない?」

「うん……」

  期待に応えられなかったことで相手をがっかりさせてしまう気がした。
ところがカオルは安堵したように肩を下ろして左手を挙げた。
気にする必要は無いと言外に告げているのだ。
街灯の光を浴びながらかずみの手を引く彼女の背は非常に心強くかずみの目に映った。



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