過去ログ - かずみ「from Connect to Luminous」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/21(月) 02:06:29.16 ID:E/g+nYa6o

「気にするなよ。あたしはそんなこと気にしてないからさ」

「でも……」

「そのうち思い出すかもしれないだろ。それにほら、あたしとの思い出なんてまたいくらでも作れば良いんだから」

  カオルはかずみの頭に手を乗せた。
彼女の繊細な指先が、かずみを労わるように“ベリーショート”の黒髪をさらさらと梳いていく。
手のひらからじんわりと伝わる人肌の熱が彼女の心をほぐし、どうしようもないほどの温もりを与える。


  ――カオルの指、柔らかいな。


  さら、さら。
髪を梳かれ頭を撫でられる感触を受けてかずみは心地良さそうに笑った。
窓から差し込む日差しとカオルの思いやりに包まれながらかずみは目を閉じる。

  温かくて、気持ち良い。いつまでもこうしていたい。
そんな我侭で贅沢な事を考える自分に呆れてかずみはふたたび笑みを浮かべた。

  カオルの顔も、声も。
一緒にいた事すらも、今の自分は憶えてはいないけれど。
こうしている今でさえ何の懐かしみも感慨も湧かないけれど。

  それでもきっと“過去”の自分は今と同じように彼女と接し、
彼女もまた同じように受け入れてくれていたのだろう。
そう思うと、どうしても心が安らいでしまって。

  覚醒した意識が浅いまどろみの中で漂うような曖昧な感覚に浸り続けた。


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