過去ログ - かずみ「from Connect to Luminous」
1- 20
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/05(火) 22:25:16.21 ID:c6fc2hcmo

  皮肉そうに笑う少女、海香の眼差しはどこか遠くへと向けられていた。
どこか寂しそうなそれを見た瞬間、奇妙なことにかずみの胸中を既視感がよぎった。
既視感とは過去に累積した経験と現在進行形で重ねつつある経験が似通っているときに起こるものだ。

  そして経験とはすなわち記憶である。
かずみに残された記憶はまだ三日分しかない。あくまで手が届く範囲での話だが。
かずみに残る記憶はこの三日間が全てではなく、忘却の底に伏したまま戻らぬ記憶も存在している。
少なくとも自分ではそう考えている。
消えてしまうよりはそちらの方が救いがあるというものだろう。

  ではこの既視感は戻らぬ記憶と今見た映像と引っかかっているのか。
そう思ったのも束の間、かずみはそれが誤りであることに気付くと、ふたたび海香の眼差しをよく観察した。
この果てしないほどの既視感。
それは戻らぬ記憶に起因するのではなく、この三日間の記憶に因るものだ。

「かずみ。私と一緒に来てもらえないかしら」

「え……?」

「私と一緒に来てもらえないかしら、と言ったの」

  唐突な提案だった。
もしも彼女の言葉が事実であった場合、
つまりカオルとかつてのかずみが旧知の仲であるならば断る理由はないように思える。

  だがかずみは記憶を失った身であり、そして今この場にカオルはいない。
真実は分からないまま。海香の言葉が虚偽である可能性は拭い切れないのだ。
海香に付いて行けば結果的にカオルへの不義理になる可能性だって十分ありうる。

  かずみが戸惑い、返答に窮していると、



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
104Res/94.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice