過去ログ - 健夜「安価で?」美子「京太郎を」美穂子「堕とす」照「さんー!」
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120: ◆mI6W0/R3ysJC[sage saga]
2013/01/24(木) 00:40:05.87 ID:YMPZuoJF0
「はい、リンゴ剥いたわ」

「ありがとうございます。喉乾いてて、えっと…」

「はい」

「あ、ありがとうございます」

「えぇ…ごめんなさい、ちょっと…」

「はい、どうぞ」

ガチャ

バタン

「…この辺りかな」

カツッ

シャンッ

「…ん、包丁だ」

「…慣れ親しんだ柄だな。霞さんの家のやつだ…」

「…っ」

〜遺書〜
このお粗末な字の遺書は、恐らく書いてから近いうちに、一目にに触れることなる。これを書いている時、俺は死ぬことばかりを考えている。
俺の目はもう役目を果たさない。ただのガラス玉以下の濁ったそれが、今包帯の下にあるのだろう。
俺はもう眠ることができない。眠っている間に、大切な何かを失ってしまいそうだから。大切なものなんで、数える程もないというのに。
俺の舌はもう、なにも受け付けない。霞さん、あなたの作ってくれた、大好物のハンバーグ。あれだってもう、苦味と、酸味の合わさったような、吐瀉物のような味にしか感じられない。悔しい。あなたの料理をもっと味わいたいのに。もう叶わない。

暗い瞳の裏に映るのは、まだ目が見えた頃の、みんなの顔だけ、それも徐々に薄れていっている。
だから、死を望んだ。

「…この刃を心臓に突き立てて一捻り加えれば、それで終わりか」

「不思議だな、今まで必死に生きながらえてきたのに…」

「…未練はない、これ以上誰かに、迷惑はかけられない」

「…っ」



死ぬのは怖い。でもこのまま、あの優しいみんなにすら見捨てられるのが、一番怖い。このままただ横たわって呼吸をして、眠れずに苦しみ、味のしない食事に虚しさを覚え、枯れて行くのが一番怖い。
せめて、せめて、記憶に強く残るようなわがままな死を許して欲しい



「っっっ!」

ドスッ


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