過去ログ - 奉太郎「遠い記憶」 -SS速報VIP

過去ログ - 奉太郎「遠い記憶」

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2: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:17:54.01 ID:ve2PMm6W0
神山高校を卒業してから、随分と時間が経った。

最初の四年は大学で過ごし。

次の六年は仕事をして過ごした。

3: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:18:19.69 ID:ve2PMm6W0
しかし、何だろう。この満たされない感じは。

あの日、あの時をもう一度やり直せるなら。

そんな考えがふと頭に浮かび、すぐに消す。

4: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:18:46.61 ID:ve2PMm6W0
一日の仕事を終え、帰路に着く。

そんな時、見覚えがある姿が見えた。

奉太郎「ん……おい！里志か？」

5: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:19:41.33 ID:ve2PMm6W0
里志「いやいや、だってさ」

里志「何だか、久しぶりの再会！って感じの方が感動しない？」

しない。

6: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:20:51.49 ID:ve2PMm6W0
奉太郎「お前、いつも笑顔なのはいいがな」

里志「ん、どうしたんだい？」

奉太郎「正直あれだ、あれ」

7: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:21:23.48 ID:ve2PMm6W0
奉太郎「……おい、里志」

里志「ちょ、ちょっと何でマジな顔してるのさ。冗談だよ」

奉太郎「そ、そうか。流石に少し焦った」

8: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:21:49.56 ID:ve2PMm6W0
……何で、俺は今アイツの事を忘れていたんだ？

もしかすると、何かの病気にでも掛かってしまったか。アルツハイマーとか。

うう、怖い怖い。

9: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:22:27.09 ID:ve2PMm6W0
里志と別れ、俺は歩きながら家を目指す。

実家にはしばらく帰っていない。姉貴はたまに帰っているらしいが。

別に今の独り暮らしのアパートが、実家と離れていると言う訳でも無い。

10: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:22:57.44 ID:ve2PMm6W0
朝起きて、会社に行って、夜まで仕事をして、帰って、テレビを見て、寝る。

そのサイクル。

それを何年も、何年も続けてきた。

11: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:23:23.58 ID:ve2PMm6W0
視界の隅に、ちらりと見える人影。

あれは……

始めに感じたのは、懐かしい空気だった。

12: ◆Oe72InN3/k
2013/01/21(月) 11:23:51.44 ID:ve2PMm6W0
俺はその人影に声を掛ける。

いつからそこに居たのか、何故今更なのか。聞きたい事は山ほどある。

しかし俺は、そう声を出すだけで精一杯だった。

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