過去ログ - SERIAL CHAINS 「あやめのうた」
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◆wPpbvtoDhE
[saga]
2013/02/03(日) 04:03:18.99 ID:OfZNFgS00
菖(この人の言葉、中国語じゃない?)
まったく聞き覚えの無い発音だった。
素養があるわけではないが、間違ってもこれは中国語じゃないと解る。
水無瀬「你还好吗(大丈夫なのか?)」
菖(少しカタコト・・・・外国人なのかな)
菖「アンタ、敵じゃないの?」
水無瀬「敵?なわけないだろ?」
まだ二十四年しか生きていない水無瀬だが、十代の最後に中国語を会得する機会があった。
半年足らずで半ば強制的に覚えさせられたものだが、それでも現状の役に立つ。
水無瀬(こいつ、なんで普通に立ってられるんだ・・・?)
目の前の女の子が何かしら異常だと気付く。
薄着の半袖に短いパンツ、それらは血だらけで無数の穴が空いている。それに加え、この寒空の下で裸足。
にも関わらず、露出している四肢には一切の擦り傷さえ見られない。
菖「・・・・・」
こちらを照らすヘッドライトの逆光を手で塞ぎながら、光りを放出する物体を凝視する。
菖(あれは、バイク・・・・多分バイクだ)
天牛蟲は起き上がるのに必死と見て取れるものの、考えている時間に猶予は無い。即座に決断する必要がある。
菖(例えこの人が敵だったとしても、人間一人なら余裕で倒せる)
菖「お願い助けて!ここから逃げたい!!」
水無瀬「・・・オーケー」
現状を加味するに、この子が何かしらヤバイことに巻き込まれているのだと判断した。
それを見捨てるほど水無瀬は薄情でもないし、性格上に至っては自ら加わって出る方である。
菖「・・・!・・・」
菖「あの虫が起き上がる前にバイクで―――――」
水無瀬「わかってるって!お前も来い!」
逃げ出したいのは水無瀬も同じだった。
二人は虫を背にし、照らす光りの方へと走り出す。
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