過去ログ - 【咲安価】久「麻雀とかを?」京太郎「ええ、教えてください」 七局目【解説?】
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966: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2013/07/28(日) 17:34:42.25 ID:eyxYtluOo

 相手が年上だとは言え、これには流石の京太郎も呆れた。

 むしろ驚きとか――それを通り越した尊敬の念すら浮かんだ。

 じゃんけんで実力行使して、しかも相手の手を無理やり変えて勝ったとか言い出すのである。

 これには激しくドン引きだ。

 ――本気なのか。本気なら、この人の頭の中身は大丈夫なのか。

 そうとまですら、思えた。


「……。流石に冗談だから」

「……」

「冗談だから」


 そんな京太郎の目線に気づいたのだろう。

 眉尻を下げた宮永照が主張する。

 そこまで自分は子供じみていない。そんな風に思われるなんて心外である。……とでも言いたそうな目をしていた。

 本気かな、と京太郎は思った。それから、当の対戦者たちを見る。

 咲はあっけにとられて口を開き、優希は困惑の表情を浮かべ、淡は指を押さえて呻いている。

 自分より宮永照に詳しいだろう、彼女の妹と後輩からは真実が読み取れない。

 仕方なく、優希と乾いた笑いを交わそうとしたそのとき、 


「――そう、冗談」


 宮永照が言葉を発するのと同時に、彼女と場を共にする少女たちの表情が凍った。

 何か恐ろしいものに覗き込まれているとでも言わんばかりに、硬直したのだ。

 鳥肌が立っているものもいた。

 この熱いのに不思議なものだな、と、京太郎は思う。


「私は……『一巡が稼げればそれでよかった』」


 むしろ今のが受け入れられた方がよほど困るとでも、言いたそうな発言。

 初めから、場を荒らすのが目的であったのだろうか。

 心理的な読み合いを突きつけられたとき――相談ができないのなら、そこには相対する人間の本性が現れる。

 人は誰しも――似た傾向というのがあるとしても――同一ではない。

 そこで咄嗟の判断を突きつけられたのなら、現れる結果には――行動には各人の趣向に因るバラつきが現れる。

 故のブラフ。故のハッタリ。

 自身の宣誓を以って、この場での運分天分の要素を可能な限り削り、相子の確率を上げた。

 亡羊とした眼ながらその実、その目に乱れや迷いや胡乱としたものは浮かんではいない。

 宮永照は列記とした、判断感覚を持った――多少人と異なるとしても――人間であった。


 もちろん、


(……たかがグループ分けのじゃんけんに何でそこまで)


 京太郎からしたら、だからどうしたという域をでない行動ではあるのだが。


 結果――相子を経た二度目のじゃんけんで、宮永照は勝利した。


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