過去ログ - 少年「魔方陣……服従……の術式ですか?」先輩「そうだ」
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46: ◆2nkMiLkTeA[sage]
2013/02/13(水) 12:17:46.84 ID:v5xKEJjQo
 先輩の言葉の通りだった。そもそも、このドアというものは、どうやったら開けられるんだったのか……?そんな疑問さえわきそうだった。

「じゃ、じゃあ、窓は……!開けることはできる……でも、出られない!」

 続いて、ドアを離れ、一番近くの窓へと少年は駆け寄った。言葉の通り、窓は開けることはできた。が、ここは一階だというのに、出ようとすることができなかった。

「そろそろ全力で逃げようとしてみたまえ。敵に捕まったと想定して」

 言われなくても!少年の思考は既にそこに至っていた。

(扉も、窓もダメ……なら、出口を作れば!)

 杖を懐から取り出す。棒の先にある魔導水晶へと意識を集中する。

(ドアに、風穴を……!)

 先ほどの先輩の服従の魔方陣のように、必要な時にそのための魔方陣を描く時間や余裕がないということは、当然ある。
 魔導水晶は、それらの問題を解消し、学園出の魔術師を最強足らしめた要因だった。意識の中でイメージした魔方陣を、水晶は魔翌力によって空間に展開、描画する。実際に書くのと違い、その所要時間は一瞬。暴発しやすいという欠点はあるものの、それ目を瞑って余りある戦果をあげた。

「魔術を使うことを禁ずる」

 少年がイメージの魔方陣を完成させ、展開するまで、もはや一瞬もかからないという刹那。先輩の言葉が少年の耳を――魔術を縛った。

(魔方陣が、霧散する!?)

 先ほどまで、いくらでも強力な魔法を行使できた自分の魔術の蓄積が、魔方陣の術式の知識が、もやがかかったように思い出せない。
 それどころか、魔翌力を込める感覚さえ忘れてしまったかのようだ。魔翌力操作は、魔術の基本。これができなければ、魔術は暴発する段階にもいけない。お手上げだ。

「済まんな。一々壊れたものを直すのも面倒だから、魔術そのものを禁じたよ」

 驚愕する少年に、先輩はいつもの冷静な声で語った。

「……すごい……ここまで完全に対象を抑えられるなんて」

 驚愕は、いつしか感嘆へと変わっていった。これでは、この服従術をかけられたが最後、逆らえるものはいない。

「君の魔術は、このまま封じさせてもらおう」


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