過去ログ - 少年「魔方陣……服従……の術式ですか?」先輩「そうだ」
1- 20
56: ◆2nkMiLkTeA[saga]
2013/02/13(水) 16:58:25.92 ID:qRUp2lYzo
 理不尽に視覚を閉ざされ少しイライラしているところに、そんなふざけるようなことを言われて、少年はぶっきらぼうに言葉を返した。
 先輩は、普段以上に落ち着いた――ともすれば、暗い声とも取れるような声を発した。彼女の表情の変化は、目が見えない少年にはわからない。

「よいしょっと」

「あ、見える」

 手を引っ張りあげられる。同時に、視力が回復した。再び目が見えなくならないようにだろう。先輩は少年と手を繋いだままだ。

「……」

 気恥ずかしい。それに、気まずい。なんとなく、二人とも沈黙した。その空気に、先に耐えられなかったのは、少年だった。

「これが僕が本気で嫌がりそうな命令ですか?」

「……ああ」

 先輩はそっぽを向いた。またも、普段とは違う態度だ。

「なぜなら、この命令は、外出禁止のように、そのままにしようと思うからだ」

「この状態を?」

「いけない、かな?」

 少し考える。確かに不便だ。それに、先輩の様子のおかしい。どうしよう。
 ――そう、この時だ。これが岐路だった。
 しかし結局、少年はよく考えずに答えてしまった。

「まあ、寮から出れないですし、この中だけならいいですけど……」

「では、半年よろしく頼むよ」

 先輩が、いつものように、にやっと笑った。
 ――少年は、彼女のこの笑みの意味に、気づくべきだった。

―――
――


「……」

 少年と先輩は、手を繋いだまま談話室にいた。先輩は片手で本を読み、少年はぼーっとしていた。
 二人の話題は出尽くしていた。もう十日も一緒にいるし、少年はこの寮から出られないので、仕方がない。
 さらに、先輩から離れられないとなっては、彼女と同じように本を読むくらいしかないが、いまいちそういう気にはなれなかった。
 今日の実験はもう終わった。というより、これからは日常生活の中で実験していくらしい。こうなると、家事をしたいのだが、先輩から離れると、目が見えなくなるのが問題だった。

(この命令はやめておけば良かったかな……)


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
78Res/77.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice