過去ログ - 【咲安価】 京太郎「……変、身ッ!」 【仮面ライダー】
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45: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2013/02/03(日) 23:57:43.05 ID:jtL9/WO+o

 これは――既に終わってしまった物語。

 二度と訪れない昔日。明けない夜。覚めない悪夢。繰り返される彼の時。


 パチパチ、何かが弾ける音が聞こえた。
 ぼやけた視界。涙を浮かべた咲。

 ――どうして、泣いているんだ。

 問いかけたつもりだったが、裏腹、声が出ない。
 咲が離れていく。歯を食いしばって、目に怒りを湛えて。
 駄目だ。そう思った。何故だかは分からない。だが、止めなければならない。
 それなのに体が動かない。右手を持ち上げたつもりなのに、そこにあるのは、黒く変わった何かだ。
 痛みはない。ただ、寒いのだ。黒い何かから、ボロボロと破片が零れ落ちる。
 辺りは一面、火の海。正確に捉えられるのは咲の姿だけ。
 距離感が掴めない。自分は、片目しか使えていないようだ。


 ――咲、駄目だ。

 言葉にならない。掠れた音がひゅうひゅうと鳴って、それっきり。
 それなのに咲は、振り向いた。
 駄目なんだ。咲、それは駄目だ。
 何とか伝わってくれと、口を動かす。ぱくぱくと、酸素を求めて喘ぐ事にしかならなかった。
 咲が笑った。

 ――ごめんね、京ちゃん。

 そして咲は消えた。
 須賀京太郎を残して、火の海に。
 その背中に伸ばした手は届かない。虚しく空を切って、それで、京太郎の意識は落ちた。

 暗転――。





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