過去ログ - 【咲安価】 京太郎「……変、身ッ!」 【仮面ライダー】
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◆B6xkwd67zxGJ
[saga]
2013/02/06(水) 21:24:47.99 ID:XyZvhvh5o
時間はもう二度と戻らない。零れ落ちる砂のように。
後から後から、後悔だけが降り積もる。それは決して返す事のできない砂時計。
できる事と言ったら、零れ落ちる砂を少しでも堰き止める事だけ。
何故あの時、彼女にああも冷たく接したのだろうか。
何故あの時、彼女の冗談を笑い飛ばせなかったのだろうか。
何故あの時、明日も変わらず訪れると思ったのだろうか。
もっと優しくはできなかったのか。もっと彼女と会話はできなかったのか。もっと、もっと、もっと――。
何故あの時、彼女を邪険に扱ってしまったのだろうか。
何故あの時、ちゃんと彼女の話を聞いてやれなかったのだろうか。
何故あの時、こうして日々を過ごせていけるのだろうななどと思ってしまったのだろうか。
どうして普段から彼女を軽く見ていたのか。どうして彼女の事を小ばかにしていたのか。どうして、どうして、どうして――。
何故あの時、両親にそんなものをプレゼントしたのだろうか。
何故あの時、出掛けに思えば笑えない冗談を言ってしまったのだろうか。
何故あの時、ほんの少しでもウザったいなと思ってしまったのだろうか。
もう、話す事はできない。もう、あの料理を食べる事はできない。もう、もう、もう――。
周囲は同情をしてくれた。
家族を失って、友人を亡くして、自分一人だけ残られて――なんて可哀想な人間なんだろうと。
その目を向けられるたびに。言葉を投げかけられるたびに。そう噂をされるたびに。
京太郎は、内なる絶叫を上げる。血涙を流す。懺悔を行う。
違う――あれは。俺のせいなんだ。
俺があんな事を言ってしまったから! 俺がそんな事をしてしまったから! 俺がこんな風に思わなければ!
そうすれば、彼らは死ぬ事もなかった! 彼らの命を奪ったのは俺だ! 俺が、俺が殺したのだ!
この学園に通うまで。
死んでしまった彼らの分も、止まっている訳にはいかないと。
申し訳なさ差から動き出すまで、京太郎は泣き続けた。
動き出したのは、ただなんとなく。
いつまでも、その場に留まっていて腐っていくだけだと、彼らに面目が立たない。
そう思ったから歩き出しただけで。それほどまでの強い欲求や目的は存在しない。
勿論、絶望に浸りきって。
自分は幸せになれないとか。自分に関わると誰もが不幸になるとか。自分に生きる価値はないだとか。
そんな風に、何もかもを諦められるほどの強さ/弱さはなかった。
誰かと話したいとも思ってはいるし、人の輪に入りたいとも思う。
誰かが嘆けば悲しくなるし、誰かが怒ればその気持ちを共にした。
自分自身楽しいと思う事もある。当然悲しい事もある。興味が引かれるものもある。
そういう意味では、至って普通の人間だ。
だけども――根底には恐怖が根強く残っていた。
そうして近寄って、声をかけて、間に立って。
それでまた失ったらどうしよう。傷つけてしまったらどうしよう。守れなかったらどうしよう。
思うと、身が竦んだ。
だから、結局はそんな日常の光景を遠巻きに眺める事しかできない。
その中に入りたいとは思っても、入れないのだ。どうしても恐れが自分の心を覆い尽くす。
だから自然と、人間関係は以前より希薄になっていった。
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