過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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507:1[saga]
2013/02/10(日) 00:50:22.41 ID:2a1n6iw2o
彼女が居たのは、この街を流れる大きな河に掛かった大きな橋の上。

いや、場所がどこであろうとこの時間に彼女がこんな場所にいるのが問題なのだ。

買い物中に迷子？　夢遊病？　散歩？

……全部ありえる。本当に、困った人だ。

宥「ちょっと、京太郎くんに伝えたいことがあって」

京太郎「いやそれなら明日学校でいいでしょう！？　最近夜間の街は危ないんですから、今すぐ……」

宥「大切な事。貴方の、生死に関わるような」

京太郎「……分かりました。ちゃんと聞きます」

出来る事ならば、すぐにでも彼女を彼女の家まで送り届けたい。
ここにいる、それだけで現在進行形で危険なのだから。

しかし、彼女の目は真剣だ。

生死に関わる、という言葉は嘘じゃない。

だからこそ今、彼女の言葉を聴き逃してはならない。

京太郎は何故か、そんな確信に囚われていた。

宥「……そうだ、ちょっとその携帯電話貸してくれる？」

京太郎「へ？　どっか電話掛けるんですか？」

宥「んー、念の為、かな」

京太郎「まあいいですけど。はい、どうぞ」

京太郎から宥へと手渡された携帯電話。
格納のキーである、文字通りの彼の生命線。

その生命線を、彼女は。
あろうことか、彼女は。

宥「……ごめんね」

京太郎「……？」

宥「えいっ」

京太郎「なっ」

橋の下の川に向かって、投げ捨てた。

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