過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：八巻目【都市伝説】

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561:1[saga]
2013/02/10(日) 01:17:33.82 ID:2a1n6iw2o
京太郎「騙してたんですか」

宥「嘘をついた覚えは、無いけどね。聞かれなかったから」

京太郎「……なんで、こんな」

宥「……分かんないよ。言っても、きっと」

京太郎「玄さん、知ったら泣きますよ」

宥「……かも、ね」

京太郎「俺を、殺すんですか」

宥「それをわざわざ聞くの？」

京太郎「他の奴は……俺の仲間とダチは、どうなりますか」

宥「最悪の状況にでも成らなければ、私が安全を保証するよ」

京太郎「じゃあ、最後に」

宥「うん。……何？」

京太郎「なんで、泣いてるんですか」

返答はナイフ。

それは京太郎の胸の中心、心臓の辺りに深々と突き刺さる。

そしてよろめいた彼の体は、彼女に蹴り飛ばされ、橋の下に落ちた。

橋の下、やや増水した河の中へと。

糸の切れた人形のように、彼は落下していった。

京太郎「（胸にナイフが……深々と……ああ、死ぬのか、俺は……）」

薄れていく意識の中、彼の脳裏に浮かんだものは。
恨み事でも、後悔でも、生きようとする意志でもなく。

京太郎「(泣かないで下さいよ……俺まで、泣きたくなってくるじゃないですか……)」

そんな、今にも消え去りそうな思い遣りだった。

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